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ビタミンのチョコット知識⑪ ビタミンK

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 .脂溶性ビタミン

 

-4 ビタミンK(VitaminK)

 

 ビタミンKにはビタミンK1~ビタミンK7まで7種類あります。そのなかで天然型はビタミンK1(フィロキノンPhylloquinone)とビタミンK2(メナキノン menaquinone)ですが、ビタミンKとしての体内での働きはほぼ同じと考えられています。

 

 ビタミンK1は主に植物の葉緑体でつくられるので、ほうれん草、春菊、かぶや大根の葉などの緑色の濃い葉野菜や青汁、海草類に含まれています。また、

同じ葉野菜でも日が当たらない内側より、日のよく当たる外側の葉に多く含まれています。

 

ほうれん草

 

 ビタミンK2は納豆菌などの微生物によってつくられるため、納豆やチーズ、その他発酵食品に含まれています。また、

腸内細菌(ビフィズス菌や乳酸菌など)
によっても合成され、からだに必要な量の半分ほどがつくられています。

 

納豆

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ビタミンKの効能

 

 血液凝固にかかわっています 

 ケガなどで出血しても、しばらくすると自然に血は止まります。これは、血液中に血液を凝固させる成分(血液凝固因子)が含まれているからです。

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出血

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   ビタミンKは血液凝固因子のプロトロンビン(Prothrombin)などが肝臓でつくられるときにカルボキシル化酵素の補酵素として働きます。

    アポ酵素(Apoenzyme)と補酵素(大部分のビタミンB群)を合わせたものをホロ酵素(Holoenzyme)といい、この形になってはじめて生理活性酵素として働きます。

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ホロ酵素 アポ酵素 補酵素
ホロ酵素 アポ酵 補酵素
(活性) (不活性) ビタミンK

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血小板破壊

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ⅰ)出血すると血小板が壊れて血しょう中に活性トロンボプラスチン(Thromboprastin)が遊離します。

ⅱ)活性トロンボプラスチンは血しょう中に含まれているCa2+と協力して、ビタミンKが関与して合成された血しょう中のプロトロンビントロンビンに変えます。

ⅲ)トロンビンは血しょう中に溶けているフィブリノーゲン(Fibrinogen:繊維素原)からフィブリン(fibrin:繊維素)をつくります。

ⅳ)血しょう中に生じた多数のフィブリンが血管の損傷部を網状に覆い、血球と一緒に血ぺいを形成して血管壁を塞ぐことにより出血止まります

 

切り傷

 

 一方、血液は出血した場所以外では正常に流れていなければなりません。

 血管は外膜、中膜、内膜からできていますが、さらに、内膜の内側を覆っている血管内皮細胞では、血液凝固を抑える数多くの物質(ヘパリン様物質、プロスタサイクリン、プラスミンなど)が産生されています。ビタミンKはこれらの血液凝固を抑える物質の合成にも必要です。

 ビタミンKは血液凝固を促進したり、血液凝固を抑制したりする働きを、必要に応じてバランスよくこなしています。

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 骨の形成を助ける

 ビタミンKは骨にカルシウム(Ca)を沈着させ、骨を丈夫に保つ働きがあります。骨はコラーゲン(Collagen)にCaやリン(P)などが沈着してできています。

 骨に含まれるたんぱく質のなかで最も多いのがコラーゲンです。次いで多いのが骨の合成にかかわるたんぱく質オステオカルシン(Osteocalcin)です。オステオカルシンはCaが骨に沈着するのに必要な物質で、ビタミンKオステオカルシン活性化することでCaの骨への沈着を促します。

          

       ビタミンK
          ↓

 オステオカルシン ⇒ 活性オステオカルシン
                ↓

骨コラーゲン

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 ⅰ)ビタミンKがオステオカルシンを活性化します。

 ⅱ)活性オステオカルシンは骨コラーゲンにリン酸カルシウム[Ca3(PO42]を沈着させます。

 ⅲ)柔軟性に富んだしなやか骨ができます。

 また、ビタミンKは骨からCaが流出するのを抑えたり、骨が石灰化するのを促進したりします。

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 ビタミンKと腸内細菌

 ビタミンKは腸内細菌からもつくられるので、普通の食生活をしている大人なら不足する心配はまずありません。

 しかし、誕生直後の新生児や乳児は腸内細菌の発達が未熟なため、ビタミンKが十分に合成されません。さらに、母乳中のビタミンKが不足していると「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症(消化管やまれに頭蓋内の出血症)」を引き起こすことがあります。

 その予防のため、誕生直後の新生児にはビタミンKのシロップを内服させることもあります。また、妊娠後期から授乳中の女性は、ビタミンKの多い食品を積極的に摂取することが大切です。

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おっぱい

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 さらに、長期間抗生物質を服用していたり、肝臓に障害がある場合にも、ビタミンK不足には注意が必要です。

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 ビタミンK納豆

 血栓症の人や血液の抗凝固作用をもつ薬剤を服用している人はビタミンKを多く含む食品やビタミンK剤の使用は制限されます。

 抗凝固薬のうちクマリン系抗血液凝固薬ワルファリン(商品名:ワ-ファリンなど)は血栓塞栓症の治療及び予防に投与されますが、これは、ビタミンKに拮抗してプロトロンビン生成を阻止する作用により、血液の凝固を防ぐためです。

  ワ-ファリン服用中は、ビタミンKを合成する納豆菌のいる納豆を食べたり、ビタミンKを多く含む青汁やクロレラ、わかめ、のり などをたくさん飲んだり食べたりするのは止しましょう。

 

 なお 、ワ-ファリンの使用量を決める検査にトロンボテスト(TT:thrombo test)があります。

 服用しているワ-ファリンの量が適切かどうかを調べる検査です。

 

 5%未満ではワ-ファリンの使用量過剰、20%以上であれば使用量不足といえます。

 ワ-ファリンの作用を十分に発揮させるにはトロンボテストの数値が8~15%になるように使用量が決められています。

 

現在ではワーファリンコントロール検査にはINR(international normalized ratio国際標準化比≒PT)が主流になっています。INRは施設間差がなく国際的にも使用できる長所があります。

 

ワーファリン使用量不足

INR 2.0  = TT 17%

 

INR 3.0  = TT   9%

ワーファリン使用量過剰

 

 INR2.0~3.0でワーファリンの使用量を決めています。

 ここで、抗凝固薬のなかで、納豆や青汁といったビタミンKを含む食物と相互作用がなく、また、定期的に血液検査の必要もない薬剤プラザキサ(ダビガトラン:Dabigatran)などがあります。

 プラザキサは、経口直接トロンビン阻害剤で、血液凝固因子のトロンビンを阻害して抗凝固作用を発揮するので、心原性脳塞栓症(不整脈の心房細動などにより心臓でできた血塊が脳の血管につまること)などに処方されています。

 

うさじい正座

 

   そうそう、血栓塞栓を防ぐお薬には抗血小板薬血小板凝集抑制薬:アスピリン、プラビックス、プレタールなど)アスピリン(商品名:アスピリンバファリンバイアスピリンなど)があります。

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 ワーファリン、アスピリン、バファリン、バイアスピリンは呼び名こそ似ていますが、アスピリンやバファリン、バイアスピリンには納豆や青汁、クロレラとの相互作用はありません。 どうぞ、ご心配なくお召し上がりください。

 

   ただ、アレルギ-体質とくに気管支喘息の既往歴のある人は、アスピリンの服用には医師の指示を仰いでください。重篤な喘息発作を起こすことがありますから。

治療

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●欠乏症:新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症、骨粗しょう症、変形性関節症など

●過剰症:新生児溶血性貧血 など

 

    ◎多く含まれている食品:納豆、青汁、海草類、大根の葉 など

納豆と青汁海苔大根

                                                大根の葉

     

 

大和田です(小)

 

大和田150(i)

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