“ホルモン”のチョコット知識③
脳下垂体
Ⅱ.脳下垂体
脳下垂体 (pituitary gland)は間脳の一部で視床下部の下に位置し、視床下部からのコントロールを受けながら、身体にとって重要なホルモンを分泌します。 .
[主な内分泌器官]
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脳下垂体は前葉と中葉、後葉とから構成されています。
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[間脳]
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A.脳下垂体前葉からは
①成長ホルモン
②甲状腺刺激ホルモン
③副腎皮質刺激ホルモン
④黄体形成ホルモン
⑤間質細胞刺激ホルモン
⑥卵胞刺激ホルモン
⑦プロラクチン
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B.脳下垂体中葉からは
①インテルメジン.
C.脳下垂体後葉からは
①バソプレッシン
②オキシトシン
が分泌されます。
[内分泌器官とホルモン]
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A.脳下垂体前葉(腺性下垂体)
①成長ホルモン(growth hormone:GH)
成長ホルモンはたんぱく合成を促し、骨や筋肉、内臓の成長を促進させます。
また、肝臓からソマトメジンを分泌させ、ソマトメジンが骨端軟骨細胞を増殖させます。
とくに、成長ホルモンは、思春期における骨の成長には欠かせないホルモンです。
成長ホルモンの過剰:先端肥大症、巨人症
成長ホルモンの欠乏:小人症
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②甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)
甲状腺に作用し、甲状腺ホルモンの産生・分泌を促します。.
③副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone:ACTH)
副腎皮質に作用し、副腎皮質ホルモンを分泌させます.
④黄体形成ホルモン(luteinizing hormone:LH)
性腺刺激ホルモンの一種。女性の卵巣に作用して卵胞を成熟させて排卵させます。排卵後は黄体を発達させ、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌を促進します。間質細胞刺激ホルモンと同一物質。.
⑤間質細胞刺激ホルモン(interstitial cell-stimulating hormone:ICSH)
性腺刺激ホルモンの一種。男性の精巣間質細胞に作用してテストステロン(男性ホルモン)の分泌を促進します。黄体形成ホルモンと同一物質。
⑥卵胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone:FSH)
性腺刺激ホルモンの一種。女性の卵巣に作用して卵胞の発育とエストロゲン(女性ホルモン)の分泌を促進します。
また、男性の精巣に作用して精巣の育成と精子の賛成を促します。.
⑦プロラクチン(prolactin:PRL)
プロラクチンは出産後に分泌が盛んになり、乳腺を発達させ、母乳の分泌を促進します。プロラクチンが分泌されている間は、視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモンの放出が抑制されるため、排卵は起きません。
高プロラクチン血症:不妊症、生理不順、流産
プロラクチン欠乏:授乳期の乳汁分泌低下
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B.脳下垂体中葉(腺性下垂体)
①インテルメジン(intermedin:MSH)
皮膚にあるメラニン細胞に作用し、メラニン色素の合成を促進します。
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C.脳下垂体後葉(神経性下垂体)
2種類の脳下垂体後葉ホルモンは脳下垂体後葉で生合成されたものではありません。
これらのホルモンは視床下部で生合成され、脳下垂体後葉に運ばれ、貯蔵されたものです。
そして、それぞれの生理刺激に応じて分泌されます。
①バソプレッシン(vasopressin)
抗利尿ホルモン(antidiuretic:ADH)とも呼ばれ、腎臓に作用して水分の再吸収を促進させることで尿量を減少させ、体内の水分量が不足しないように調節します。
また、毛細血管を収縮させることで血圧を上昇させます。
②オキシトシン(oxytocin)
出産前後に子宮平滑筋の収縮を増強させる作用があります。
オキシトシンは恋愛ホルモン、愛情ホルモン、信頼ホルモン、幸せホルモンなどとも呼ばれ、ストレスを緩和し、幸せな気分をもたらします。.
オキシトシン欠乏:陣痛微弱
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