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“ホルモン”のチョコット知識④ 甲状腺

“ホルモン”のチョコット知識④
甲状腺

 

Ⅲ.甲状腺

  甲状腺(thyroid gland)は首の前側、鎖骨の上、”のどぼとけ”のすぐ下に、蝶が羽を広げたような形で気管を包み込むようにあり、縦4cm、厚さ1cm、重さ15g程度の小さな臓器です。
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甲状腺

 [甲状腺]

 甲状腺は脳下垂体前葉から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH:Thyroid-stimulating hormone)の刺激により、生体の代謝に必要な甲状線ホルモン(thyroid hormoneを合成分泌します。

 ミネラルのヨウ素(iodine)は甲状腺ホルモンのチロキシン(Thyroxine:T4)トリヨードチロニン(Triiodothyronine:T3)をつくる材料になります。.

チロシン・ヨウ素・チロキシン

チロニンからチロキシン

[甲状腺ホルモン]
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 甲状腺ホルモンは発育や成長に欠かせません。そして、全身(脳や心臓、消化管、骨、筋肉など)の新陳代謝を活発にする働きがあり、精神神経や身体活動の調整にもかかわっています。

 また、甲状腺からは血中カルシウム濃度を低下させるホルモンカルシトニン(calcitonin)も分泌されます。

 

パラトルモンとカルシトニン

 

 カルシトニンは、破骨細胞による骨からのカルシウム溶出を抑制し、骨形成を促進します。.

 

甲状腺ホルモンの働き

   ① 新陳代謝促進と体温調節

 甲状腺ホルモンは、末梢組織に働き、酸素消費量を増加させ、エネルギー産生を高めて基礎代謝や体温を維持します。

 ① 全身の細胞の新陳代謝を促進してエネルギーをつくり、

 ② 新陳代謝で得られたエネルギーで体温を調節します。.

解糖系・TCAサイクルと三大栄養素

[ 解糖系・TCAサイクルと三大栄養素]

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細胞

ミトコンドリアの構造

ミトコンドリア

[エネルギー発生メカニズム].

  ②  脳の活性化

  甲状腺ホルモンは、脳に作用して脳の働きを活性化することにより、脳神経系の機能を維持します。

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脳 [脳と脊髄のイメージ].

  ③ たんぱく質生合成促進

  甲状腺ホルモンは、成長発育に必要なたんぱく質の生合成を促します。

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DNAの一部(遺伝子部分)の結合がはずれ、二重らせんがほどける。
一方のDNA鎖にRNAのリボヌクレオチドが相補的に結合し、
mRNAが合成される。(転写)このmRNAは、前駆mRNAの不要な部分(イントロン)を除外し、エキソンを組み合わせて再構成を起こしたmRNA。…スプライシング 
m-RNAが核膜孔を抜けて細胞質に移動し、rRNAに付着する。
細胞質中のtRNAがそれぞれ特定の活性アミノ酸と結合し、rRNAへと移動する。
rRNAがmRNA上を動くとき、mRNAの情報(暗号:コドン)に対応した活性アミノ酸をもつそれぞれのtRNAが、mRNAの端から順にそれぞれの活性アミノ酸を連結させる。 (翻訳)
rRNAの中の連結した活性アミノ酸は停止の命令がでるまで結合し続ける。できあがったポリペプチド鎖がrRNAから離れ、たんぱく質ができる。

[たんぱく質生合成].

  ④  胃腸の働きを活発化

甲状腺ホルモンは、小腸からの栄養分の吸収を促進します。

 [  栄養分の吸収  ].

    ⑤  コレステロ-ル(リンク)

  甲状腺ホルモンは、肝臓でのコレステロールの生合成を促進します。また、胆汁中へのコレステロール排泄を増加させます。

 ⑥  心臓の活性化

   甲状腺ホルモンは、心拍数や心収縮力を増加し、循環血量を増やし血管を拡張します。

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[ 心臓 ]

 

 *甲状腺ホルモン分泌過剰(甲状腺機能亢進症):バセドウ病など  

 *甲状腺ホルモン分泌不足(甲状腺機能低下症):慢性甲状腺炎(橋本病)、 粘液水腫、クレチン病など

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[参考]

放射性ヨウ素131I

 原発事故等の核反応のからんだ事故があると、真っ先に検出されるのがヨウ131I です。これは放射性ヨウ素と呼ばれています。

 放射性ヨウ素は体に蓄積しやすく、β線を放出するので体内に入ると非常に危険です。

 ヨウ素は 127I ですが、核分裂でできるヨウ素は 127I の同位体 131I です。

 放射性ヨウ素 131I はβ線を放出してβ壊変(崩壊)することにより、キセノン 131Xe に変化(半減期:8日)します。このβ線が体に悪さをするのです。.

β壊変β線

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 β線を含む放射線は体内の細胞そのものを直接破壊します。また、間接的にも細胞内に活性酸素を発生させて細胞分裂に重要なDNAを傷つけたり、DNAの塩基配列を変化させたりします。

核酸構造(模式図)

プリン塩基:アデニン(A) グアニン(G)

ピリミジン塩基:シトシン(C) チミン(T)

[DNA塩基配列例]
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 そして、人体が多量の放射線に被曝した場合、死亡することはもちろん、臓器や組織の細胞死により、脱毛や吐気、発熱、悪寒と戦慄、白血球の一時的な減少などの症状が現われます。ーーー確定的影響.

 また、DNAに傷が残ったり、塩基配列が変化した場合には、がんや白血病の発症や染色体異常(突然変異)による発育障害などを引き起こします。ーーー確率的影響.

 放射性ヨウ素 131I も人体の甲状腺に蓄積し、そこでチロキシンやトリヨードチロニンなどの放射性ホルモンとなって体内の各臓器に配られます。

 このことから、放射性ヨウ素を摂取すると甲状腺にダメージを与え、子どもの場合には甲状腺がんになる確率が増えるといわれます。

 .放射線の種類と透過力

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 結局! 薬局! 花野井薬局

 人為的な原因で放たれる放射性物質の中で、特に多いのが 131_53i(ヨウ素) と 137_55cs(セシウム:Cesium) 、それに 90_38sr (ストロンチウム:Strontium)です。

CsSrBaY

Ba:バリウム Y:イットリウム.

137_55cs は半減期が30年と長く、性質がNa(ナトリウム)やK(カリウム)と似ているため(アルカリ土類金属)、体内に入ると腸や肝臓を経て筋肉に蓄積します。その後、腎臓から体外に排泄される100日から200日の間、β線を放出し続けます。内部被曝.

90_38sr の半減期は28.9年。
Ca(カルシウム)と親戚(アルカリ土類金属)なので骨に溜まりやすく、長期間にわたってβ線を出し続け、がんなどを引き起こすおそれがあります。―内部被曝
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  射線の人体への影響は経路により、外部被曝内部被曝があります。なかでも怖いのは、体内の放射性物質が至近距離から放射線を放出し、遮るものがないため直接ダメージを人体が受ける内部被曝です。.

 放射性ヨウ素は甲状腺、放射性セシウムは筋肉、放射性ストロンチウムは骨に主に蓄積します。そして、これらの放射性物質は体内でβ線を放出し続けて臓器や組織の細胞に悪影響を与えます。.

 放射性物質を体内に決して入れないよう、細心の注意を払う必要があります 

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