“ホルモン”のチョコット知識⑥
副腎
副腎(adrenal gland)は左右1対、腎臓(kidney)の上部についている三角形の小型の内分泌器官です。
副腎は中心付近の副腎髄質とその周囲を取り囲んでいる副腎皮質とからなり、それぞれが異なるホルモンを分泌しています。
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副腎髄質…アドレナリン、ノルアドレナリン.
副腎皮質
球状帯…鉱質コルチコイド(アルドステロンなど)
束状帯…糖質コルチコイド(コルチゾールなど)
網状帯…男性ホルモン(デヒドロエピアンドロステロンなど)
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副腎髄質からはアドレナリンとノルアドレナリンが分泌されます。
アドレナリン(Adrenaline)は脳では興奮性の神経伝達物質としても働きますが、主に、ホルモンとして分泌され、緊急時に心拍数を増加させます。
そして、脂肪組織から血中に遊離脂肪酸を放出させ、肝臓や筋肉でのグリコーゲン分解を促進してブドウ糖を生成することにより、血糖値を上昇させ、熱産生を亢進させます。さらに、気管支を拡張させる作用もあります。.
ノルアドレナリン(Noradrenaline)はホルモンとしても分泌されますが、主に、脳では興奮性の神経伝達物質として、また、交感神経でも神経端末から分泌される神経伝達物質として働きます。
ノルアドレナリンは脳内に広く分布しています。うつ・幸福感・不安など情動に深く関与して、目覚めや集中力、積極性を養ったり、痛みをとる働きをします。
シナプスにノルアドレナリンが過剰になると興奮状態が続き、ソワソワして落ちつきがなくなり、不安でいても立ってもいられないという、そう病の症状が現われます。さらに、そう状態では睡眠時間が減り、行動が活発、乱暴となり、他人を攻撃したり怒りっぽくなります。また、性欲が亢進して見境のない性行動(リビドー亢進)に走ります。これは本人が傷つくばかりでなく、まわりにも迷惑をかけます。
[脳内神経伝達物質と疾患].
反対にシナプスにノルアドレナリンの放出が少ないと強い悲しみや失望感のために喜びがほとんど感じられず、意欲が低下し、あらゆることに興味や関心がなくなってしまう、うつ病になります。.
ところで、脳内神経伝達物質のバランスが崩れやすいヒトは、”勤勉”、”まじめ”、”努力家”に多いと言われています。”あわてず”、”あせらず”、”のんびり”と手抜きをしながらゆとりのある生活をしましょう。.
副腎皮質は異なる種類の細胞の層からなっていて、副腎の表層側から順に球状帯、束状帯、網状帯と呼ばれています。
これらの3層の細胞はそれぞれ異なるホルモンを産生、分泌しています。
球状帯で産生される鉱質コルチコイドは、腎臓の遠位尿細管と集合管に作用してナトリウムイオンの再吸収とそれに伴うカリウムイオンの排泄を促進します。これにより、水分の再吸収が進み、体液の保持と血圧を維持する働きをします。.
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束状帯でつくられる糖質コルチコイドは、炎症やアレルギー、免疫機能を抑制する作用があります。また、末梢組織でのたんぱく質分解と肝臓でのアミノ酸からの糖新生、さらに、脂肪組織での脂肪分解を促して血糖値を上昇させます。
網状帯では男性ホルモン作用のあるデヒドロエピアンドロステロンがつくられます。.
糖質コルチコイドは、脳下垂体前葉から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)により合成と分泌が亢進します。.
副腎皮質ホルモン糖質コルチコイド(コルチゾール)分泌不足
○アジソン病(慢性疲労、低血糖、低血圧、食欲不振など)
副腎皮質ホルモン糖質コルチコイド(コルチゾール)分泌過剰
○クッシング症候群(高血圧、高血糖、ムーンフェイスなど)
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