“ホルモン”のチョコット知識⑪
主なホルモンの機能亢進症と欠乏症
Ⅹ.主なホルモンの機能亢進症と欠乏症
.
ホルモン(hormone)は体の臓器や組織の標的器官に働きかけ、その活動性と恒常性をきわめて低濃度で強力に調節する化学物質です。
ホルモンの産生や分泌が異常になると、機能亢進症や欠乏症を起こし、病的な症状が現われます。
.
.
成長ホルモン分泌過剰
巨人症 先端肥大症
主な症状:巨人症は、骨が伸長、各組織も肥大し、全身の均整を保って
巨大化します。—幼児の機能亢進
先端肥大症は、長骨は伸長しません。手、足、頬、顎などの骨は
厚く大きくなります。—成人の機能亢進
.
成長ホルモン分泌低下
脳下垂体性小人症
主な症状:早い時期に長骨骨端線の閉鎖が起こります。
.
[脳下垂体]
.
バソプレッシン分泌不足
中枢性尿崩症
主な症状:激しい口渇。大量の水を飲み、うすい尿を大量に排泄。脱水症状を起こします。
.
自己免疫性(チログロブリン、甲状腺ペルオキシダーゼに対する抗体)
慢性甲状腺炎(橋本病) 粘液水腫(成人で発症)
.
先天的甲状腺欠損
クレチン病(子供で発症)
.
主な症状:浮腫。基礎代謝低下。低体温。体重増加。発育遅延。
トリヨードチロニン(T3)、チロキシン(T4)減少により代償的に
甲状腺刺激ホルモン(TSH)分泌が亢進して 甲状腺が肥大します。
.
[甲状腺]
.
自己免疫性(TSH受容体に対する抗体が甲状腺を過剰に刺激)
バセドウ病
主な症状:びまん性甲状腺腫。眼球突出。頻脈。動悸。多汗。体重減少。
T3,T4増によるフィードバックでTSH分泌が抑制されます。
.
自己免疫性(ランゲルハンス島B(β)細胞に対する抗体)
Ⅰ型糖尿病
主な症状:若年性。ケトアシドーシスを起こして昏睡状態に陥ることもあります。
.
[膵臓]
.
Ⅱ型糖尿病
主な症状:中年以降に発症しやすい。末梢のインスリン感受性の低下。高血糖。口渇。多飲。多尿。体重減少。糖尿。ケトン体生成
(三大合併症)網膜症。腎障害。末梢神経障害
.
副腎皮質の破壊により副腎皮質ホルモンが分泌低下(自己免疫、腫瘍など)
アジソン病
主な症状:色素沈着。恥毛の脱落。低血糖。低Na+血症。高K+血症。疲労。低血圧。
.
[副腎]
.
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌過剰(脳下垂体腺腫)
クッシング病
糖質コルチコイド過剰分泌
クッシング症候群
.
主な症状:中心性肥満。満月様顔貌。進展性皮膚線条。男性化。多毛症。高血圧。生殖器発育不全。脂肪沈着。
.
副甲状腺ホルモン分泌低下
テタニー症状(カルシウム減少)
主な症状:手足の筋肉の痙攣、硬直症状。
.
[副甲状腺]
.
-11-