Ⅶ) 銅(Cu)
銅(Copper)は成人(BW:70Kg)体内に約80mg存在し、そのうち約50%が骨や筋肉、約10%は肝臓、残りはそのほかの組織や体液中に分布しています。
銅の働き
① 鉄の利用促進。
銅も鉄と同様、「血のミネラル」と呼ばれ、欠乏すると貧血を起こします。
ヘモグロビン(Hemoglobin)は鉄とたんぱく質(グロビン)からできていますが、これらからヘモグロビンを合成するには銅の助けが必要となります。これは、(プロト)ポルフェリンに鉄を挿入するフェロケラターゼ( Ferrochelatase )が銅酵素(銅を含む酵素)として関与しているためです。また、銅は腸管からの鉄の吸収を促進する働きもあります。
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結局! 薬局! 花野井薬局!
ヘモグロビン | = | ヘム(Heme)+グロビン(Globin) |
ヘム | = | 鉄(Fe)+ポルフィリン(Porphyrin) |
葉緑素 (Chlorophyll) |
= | マグネシウム(Mg)+ポルフィリン |
ビタミンB12 (Cyanocobalamine) |
= | コバルト(Co) +ポルフィリン |
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② メラニン色素生成。
アミノ酸のチロシンからメラニン色素がつくられるときには、酵素チロシナーゼの構成成分の銅が必要です。
紫外線
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、
③ コラーゲンの生成。
コラーゲン(Collagen)は、骨、血管壁、真皮、靱帯、腱、などを構成するたんぱく質です。体内に存在しているコラーゲンの総量は、ヒトでは、全たんぱく質のほぼ30%を占めています。
骨や血管壁は、細胞同士を結合するコラーゲンによって強化されています。
銅はこのコラーゲンの強度を増す構造(架橋形成)に不可欠の補助因子です。
亜鉛 銅 マンガン
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④ 抗酸化酵素合成。
細胞のミトコンドリア内では酸素と栄養分とからエネルギー(ATP)をつくっています。酸素が燃えれば有害な活性酸素が発生します。このため、ミトコンドリア内では絶えず抗酸化として働く強力な活性酸素除去酵素スーパーオキシドディスムターゼ(SOD:Superoxide dismutase)を生成して活性酸素を中和しています。
[エネルギー産生メカニズム]
また、この酵素SODは体内で、活性酸素が不飽和脂肪酸から過酸化脂質を生成する反応を抑制します。
この酵素SODは活性中心に重要な構成成分として亜鉛(ZnSOD)や銅(CuSOD)、マンガン(MnSOD)、鉄(FeSOD)を含んでいます。
⑤ その他
ⅰ.エネルギーの産生
糖質や脂質、たんぱく質は解糖系やTCAサイクルを経由して電子伝達系に入ることによりATPを産生します。そして、このATPが分解して無機リン酸を放出し、ADPに変わるときエネルギーが発生します。
ATP + H2O ⇔ ADP + Pi(リン酸) +E
ATP:アデノシン三リン酸
ADP:アデノシン二リン酸
E(標準自由エネルギー変化):⊿G。,=-7.3 kcal/mol
銅を含んだ銅酵素はO2を活性化して、電子伝達、酸化還元の触媒として働きエネルギーを産生します。
ⅱ.神経伝達物質の代謝
銅は神経伝達物質(ノルアドレナリン、ドーパミン)の代謝にも関与しています。
主な脳内神経伝達物質とその放出神経
シナプスでの脳内神経伝達物質の挙動が神経細胞(ニューロン)の興奮の度合い、すなわちヒトの脳の働きを決めています。
このため、脳内神経伝達物質の量は厳密にコントロールされています。つまり、
ヒトの心の状態は脳の神経細胞におけるシナプスで放出される脳内神経伝達物質の性質と量とによって決まります。
脳内神経伝達物質と疾患
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◎過剰
銅はミネラルのなかでも毒性が低く、また、過剰摂取の分は便中に排泄されます。通常の食生活で取り過ぎによる害が現われることはありません。
◎欠乏
不足すると鉄が十分であってもヘモグロビンがうまく合成できなくなり貧血を起こします。また、骨がもろくなったり、毛髪の色素が抜けることもあります。
◎銅を多く含む食品
魚介類、レバー、豆 など
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