ミネラルのチョコット知識⑩
セレン
Ⅸ) セレン(Se)
セレン(Selenium)は体内に10mg程度しか含まれていませんが、生体にとっては必須の微量元素です。
セレンには活性酸素(酸素分子よりさらに酸化力の強い物質)を分解する抗酸化作用やリンパ球B細胞が抗体を産出するのを促して免疫機能を高める作用などがあります。
セレンは亜鉛や銅などと共に体内の抗酸化を行なう酵素に含まれている主たる成分です。がんの予防や老化防止、習慣病の予防にも効果があるといわれています。
セレンはビタミンEの60倍以上の抗酸化作用があります。ビタミンEは活性酸素ができる前段階で活性酸素を抑制しますが、セレンはすでにできてしまった活性酸素を分解します。
セレンはビタミンEや亜鉛などと一緒に摂取すると、活性酸素の生成抑制と活性酸素の分解が同時に行なわれるため、抗酸化作用はより効果的です。
セレンの主な働き
① 過酸化脂質の分解
セレンは有害な活性酸素を中和する酵素グルタチオン・ペルオキシダーゼ(GPX:Glutathione peroxidase) に欠かせない成分です。そしてこの酵素GPXは細胞膜の酸化を防ぎます。
細胞膜を構成する成分のリン脂質は、リン(P)を含む親水性の頭部に、一方には疎水性の反応性に富んだ不飽和脂肪酸1本と、もう一方にはこれも疎水性の安定な飽和脂肪酸1本が尾部に付いています。
[細胞膜]
ここで、酸素を使用する代謝過程において、一部の酸素は反応性の強い活性酸素となります。この活性酸素は、細菌などから身を守る免疫機能をつかさどる反面、過剰に発生した場合には、細胞膜の反応性に富んだ不飽和脂肪酸を酸化攻撃して過酸化脂質をつくり、細胞を傷つけてしまいます。
過酸化脂質はDNAを傷つけてがんのもととなる異常な細胞をつくり出したり、細胞死(アポトーシス)や老化や動脈硬化の進行を早めたりします。
セレン酵素(セレンを含む酵素)GPXは過酸化脂質を水とアルコールに分解します。
② がんの予防
セレンの強力な抗酸化作用は、がんの発生や転移を抑制するといわれています。とくに、肺がんや大腸がん、前立腺がんには有効性が認められている報告があります。
③ 心筋梗塞・脳梗塞の予防
正座を続けていると足が“痺れ”てくることがあります。これは、足の組織がO2や栄養分を欲しがっている証拠です。さらに正座を続けると足に“刺す”ような痛みを感じます。この症状が心臓で起きた場合が狭心症です。 冠動脈硬化や冠攣縮(冠動脈の痙攣)によって血管の内腔が狭くなり(冠動脈狭窄)、血流が乏しくなると(心筋虚血)胸痛発作が起こります。
また、冠動脈が硬化して血管の内腔が狭くなったところに、生じた血液の塊が冠動脈を塞ぐと血液の流れが完全に止まってしまいます。そして、その流域の心臓の筋肉は死んでしまいます。これが心筋梗塞です。
そして、脳においても、心臓などからの血液の塊が脳の血管を塞ぐとその流域の脳の細胞は壊死を起こします。これが脳梗塞(脳塞栓)です。
セレンは血圧にかかわるホルモンに作用し、血管を拡張させたり、血液の凝固を防いだりします。それにより、心筋梗塞や脳梗塞などの発生を予防します。
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この度!地下足袋!リンクの旅へどうぞ~
詳しくは 花野井薬局 健康コラム ”なにをいまさら「心臓病」”をご覧ください。
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④ 若返りの効果
セレンの抗酸化作用により老化の原因とされる活性酸素の分解は、肌や血管などの体の老化を防ぎます。
⑤ 生殖生理作用
セレンは女性ホルモンのバランスをとったり、女性の更年期障害や生理不順を改善したりします。また、男性においてはセレンは精子の形成に、亜鉛は精子の運動にかかわっている、と考えられています。
⑥ 解毒作用
セレンには水銀(Hg:水俣病の原因物質)やカドミウム(Cd:イタイイタイ病の原因物質)の毒性を軽減する作用が確認されています。有害金属などに対してセレンの解毒効果が期待できます。
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詳しくは 花野井薬局 健康コラム”なにをいまさら「食中毒」”をご覧ください。
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◎過剰
・胃腸障害
・末梢神経障害
・爪の変形や脱毛、皮膚の病変
・疲労感 など
◎欠乏
日本人の食生活ではセレンが不足することはまれです。
◎セレンを多く含む食品
マグロ、レバー、タラコ など
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