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主な病原微生物  55.破傷風菌 56.ガス壊疽菌群ウェルシュ菌 57.ボツリヌス菌 57´.ディフィシル菌

 

主な病原微生物

主な病原微生物

 

♯主な細菌

 

G陽性桿菌図

[G(+):グラム陽性 G(ー):グラム陰性]
胞子(芽胞)

 

G(+)桿菌

クロストリジウム属(Clostridium)

55.破傷風菌(Clostridium tetani)

56.ガス壊疽菌群ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)

57.ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)

57´.ディフィシル菌(Clostridioides difficile)

 

マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアの特徴

 

 

   クロストリジウム属の細菌は、グラム陽性偏性嫌気性(無酸素の状態でのみで増殖)芽胞形成桿菌です。

 土壌中や哺乳動物の消化管内に常在しています。

 芽胞は休眠状態にある菌で熱、放射線、抗菌薬、消毒薬などに強い抵抗を示します。

 芽胞を死滅させるには、高圧蒸気滅菌器で121℃、20分間の加熱が必要です。 

 クロストリジウム属の中でヒトに病原性を示す菌種は、破傷風菌やガス壊疽菌群ウェルシュ菌、ボツリヌス菌、ディフィシル菌です。

 

55.破傷風菌(Clostridium tetani)

[特徴]

 破傷風菌は破傷風の原因菌で、細長い(0.3~0.6*3~9μm)グラム陽性芽胞を有する偏性嫌気性桿菌です。

 この菌は、ヒトが皮膚にさびた釘などを深く刺し、空気中の酸素が遮断された場合や創傷が土壌などで汚染され、創傷部の組織が壊死したり、土壌などの汚染によって嫌気状態になったときに芽胞が発芽して増殖します。

 破傷風菌の増殖過程で地球上最強の破傷風菌毒素(tetanustoxin:LD50=0.00005mg/kg)が産生されます。

 この毒素はテタノスパスミン(tetanospasmin)とも呼ばれる神経毒で創傷部から血中に入り、血流にのって神経筋接合部に到達し、神経内に取り込まれます。そして、

 上行性に移動して脳脊髄(中枢神経)に達して病原性を発揮します。

 中枢神経系に到達したテタノスパスミンは、抑制性シナプスを遮断して、強直性けいれん、持続的筋緊張を引き起こします。

 

破傷風菌

[芽胞をもつ破傷風菌の模式図]

 

破傷風

 通常、創傷発生4~7日後に創傷附近に違和感、不快感を生じ、肩こり(頸部の緊張)、舌のもつれ、顔のゆがみなどを伴います。

 その1~2日後に特有の開口障害(牙関緊急)が出現し、嚥下障害、発語障害、歩行・起立障害なども現われます。また、

 顔面筋がけいれんし、苦笑いに似た顔つき(痙笑)になります。

 発症数日後に背筋強直性けいれん(後弓反張)を起こすようになり、多くが呼吸筋のけいれんによって窒息死します。

 けいれん発作は光、音、振動により誘発されやすい。

 

[予防]

 予防接種(破傷風トキソイド)が有効です。また、

 ジフテリアトキソイド(D)、百日咳ワクチン(P)、破傷風トキソイド(T)を混合したDPTワクチンの接種が小児期に行なわれています。

 

[治療]

 治療は、感染後できるだけ早期に十分な抗毒素血清(破傷風免疫ヒトグロブリン)を使用します。

 抗毒素血清は、毒素が神経細胞に結合してからでは効果は期待できない、とのことです。

 

56.ガス壊疽菌群ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)

[特徴]

 グラム陽性偏性嫌気性の大型(0.8~1.5*2~4μm)の芽胞形成桿菌で、毒素を産生します。

 その毒素によってガス壊疽毒素型食中毒を起こします。

 

ウェルシュ菌

[ウェルシュ菌の模式図]

 

 

ガス壊疽

 ガス壊疽はクロストリジウム属のウェルシュ菌などの創感染によって、皮下組織や筋肉の急激な壊死を引き起こす病気です。

 ウェルシュ菌に感染すると、組織中の糖類が分解されてガスが発生し、組織が破壊され細かい気泡を生じます。

 ウェルシュ菌は種々の毒素を産生するが、ガス壊疽に関与する重要な毒素の1つがα毒素です。

 α毒素は、生体の細胞膜を障害する酵素活性をもち、細胞を破壊することで溶血や壊死などが現われます。そして、

 菌の増殖に伴い、産生されるガスが組織を圧迫すると、血行不全を引き起こすことで局所症状が急速に進行し、皮膚の変色(暗赤色~黒色)やガスによる腫脹、激しい疼痛、悪臭を伴う浸出液などがみられます。さらに、

 毒素が血中に移行すると、腎不全や肝不全、ショック、DIC(播種性血管内凝固)などを引き起こし重篤になります。

 

ウェルシュ菌による毒素型食中毒

 ウェルス菌による食中毒は、シチュー、カレーなどの煮込み料理を大量に加熱調理(芽胞の状態で耐える)し、冷却保存したあと(嫌気的環境で発芽、増殖して毒素産生)、軽く再加熱(至適温度で再増殖)して食べたときに起こりやすい。

 食中毒は、ウェルス菌が産生するエンテロトキシン(腸管毒)に汚染された食べ物の摂取によって起こります。摂取後12~24時間の潜伏期を経て水溶性下痢、腹痛で発症しますが、一過性のことが多く、1~2日で自然軽快します。

 

ウェルシュ菌

 

[治療]

 治療は輸液などの対症療法です。

 

57.ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)

[特徴]

 クロストリジウム属ボツリヌス菌は酸素が存在しているところでは生育できない、大きさ 0.5~2.5*1.6~22.0μm、グラム陽性偏性嫌気性芽胞形成桿菌で、毒素型食中毒の原因菌です。

 この菌は、土壌、河川、湖沼に分布しています。そして、

 この菌に汚染された食品が十分に処理されないまま缶詰やびん詰、ハム、ソーセージなどに密閉されると、菌が嫌気的条件下に置かれて増殖し、菌の自己融解によって毒素が食品中に放出されます。

 この毒素はボツリヌス毒素(botulinumtoxin:LD50=0.00005mg/kg)といわれ、破傷風菌毒素とならび、地球上人類の知る最強の毒素です。ただ、

 この毒素は、熱に弱く、80℃、30分あるいは、100℃、10分の加熱により、毒性を失います。

 ボツリヌス菌に汚染された食品を摂取すると、毒素が小腸で吸収されて血流にのって全身をまわり、運動神経末端と副交感神経末端に作用し、アセチルコリンの分泌を抑制します。

 その結果、筋肉の弛緩性麻痺が現われます。

 

ボツリヌス菌

[ボツリヌス菌のイメージ図]

 

ボツリヌス食中毒(食餌性ボツリヌス症)

食品摂取後2~40時間の潜伏期を経て、下痢、嘔吐などの胃腸症状や複視、瞳孔散大、眼瞼下垂、嚥下困難などの運動神経麻痺症状を呈します。

 通常、発熱や知覚障害はみられず、意識は清明です。

 

 

 その他、ボツリヌス症の主な病型には、乳児ボツリヌス症、創傷ボツリヌス症、成人腸管ボツリヌス症などがあります。

[予防]

 ボツリヌス毒素は熱に弱く、加熱で不活化されるため、食前加熱により、発症予防が可能です。また、

 蜂蜜にはボツリヌス菌芽胞が存在する可能性があるので、乳児ボツリヌス症を予防するために、1歳未満の乳児には与えないでください。

 

[治療]

 治療は、できるだけ早期に十分な抗毒素血清(ボツリヌスヒト免疫グロブリン)を投与することです。

 

57´.ディフィシル菌(Clostridioides difficile)

[特徴]

 嫌気性の長いグラム陽性桿菌(0.5~6*8μm)です。

 腸管毒(トキシンA)と細胞毒(トキシンB)を産生し、抗菌薬の投与によって腸内細菌叢が乱されたとき、ディフィシル菌が増殖して偽膜性大腸炎や下痢症を引き起こします。

 偽膜性大腸炎の症状は発熱や腹痛、頻回の水溶性下痢と大腸内視鏡検査で黄白色でドーム状の偽膜を認めます。

 

[治療]

 治療は、原因である抗菌薬の投与を中止します。必要に応じてバンコマイシン、メトロニダゾールを投与します。

 

 

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