主な病原微生物
♯主な細菌
[G(+):グラム陽性 G(ー):グラム陰性]
胞子(芽胞)
G(+)桿菌
バシルス属(Bacillus)
51.炭疽菌(Bacillus anthracis)
52.枯草菌(Bacillus subtilis)
53納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)
54.セレウス菌(Bacillus cereus)
、
バシラス属は好気性または通性嫌気性の大型グラム陽性有芽胞桿菌です。
芽胞は休眠状態にある菌で熱、放射線、抗菌薬、消毒薬などに強い抵抗を示します。
芽胞を死滅させるには、高圧蒸気滅菌器で121℃、20分間の加熱が必要です。
バシラス属には炭疽菌、枯草菌、セレウス菌などがあります。
51.炭疽菌(Bacillus anthracis)
[特徴]
炭疽菌は炭疽の原因菌です。
この菌は1.0~1.2*3~10μmの大型の莢膜をもつ桿菌で、鞭毛はなく、運動性もありません。
炭疽
炭疽には、
皮膚の傷から炭疽菌が入り皮膚で発症する皮膚炭疽。
水疱、膿疱をつくり、その膿疱が破れると潰瘍が生じます。そして、
リンパ節腫脹を起こし、敗血症に進展して多臓器不全で死亡することもあります。また
炭疽菌の胞子が呼吸器を介して肺に達すると発熱、胸痛、咳などで発症し、ついで、呼吸困難とチアノーゼから、死にいたる肺炭疽と呼ばれる重篤な疾患に。まれに、
炭疽により死亡した動物の肉を食べたとき、腸管の傷から炭疽菌が侵入して発症する腸炭疽などがあります。
[治療]
治療にはペニシリン系抗生剤が有効です。
52.枯草菌(Bacillus subtilis)
[特徴]
バシルス属枯草菌は好気症のグラム陽性桿菌で芽胞を形成します。
[枯れ草]
ヒトに対する病原性は持たないがまれに感染症を引き起こすこともあります。
53.納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)
[特徴]
納豆をつくる納豆菌は枯草菌の一種です。
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納豆のつくり方
1.わらを100℃で熱処理すると、ほとんどの細菌は死滅するが、納豆菌は芽胞の状態で生き残ります。
2.わらに蒸した大豆をいれ、40℃くらいに保って置く(土中に埋めるのもひとつの方法)と、芽胞となっていた納豆菌が再び活動を開始し、増殖しはじめます。
3.増殖した納豆菌は大豆を分解してネバネバ物質ポリグルタミン酸(r-PGA:Poly-r-glutamic acid)と多糖の一種レバン(Levan)をつくり菌体外に分泌します。—これが糸引く納豆です。—
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54.セレウス菌(Bacillus cereus)
バシルス属セレウス菌もグラム陽性好気性芽胞形成大型の桿菌で、鞭毛はありますが、莢膜はもっていません。
細菌性食中毒の原因菌の1つです。
セレウス菌食中毒
食品中では芽胞をつくって生存するため熱に抵抗性があり、殺菌するには100℃で20~30分の加熱が必要です。
エンテロトキシンをはじめいくつかの毒素をつくります。
セレウス菌による食中毒には嘔吐型と下痢型があります。
嘔吐型は1~6時間の潜伏期を経て、食物中で増殖した菌が産生した嘔吐毒によって発症します。
下痢型は8~16時間の潜伏期を経て発症します。
食物中で増殖した菌が消化管に達し、下痢原性毒素を産生し、腸管上皮細胞を刺激して腹痛を伴う水様性下痢を引き起こします。