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主な病原微生物 ㉓ ヒト免疫不全ウイルス    

 

 

主な病原微生物

2017主な病原微生物

 

ウイルス

㉓ ヒト免疫不全ウイルス(HIV:Human immunodeficiency virus)

 

マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアの特徴

 

ウイルスは

 

 

ヒト免疫不全ウイルスHIV:Human immunodeficiency virus)

[特徴]

 HIV(RNAウイルス)マクロファージヘルパーT細胞に感染して、進行性の、重症の免疫不全を引き起こすウイルスです。

 

HIV

 

[模式図]

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 そして、

 エイズ(AIDS:Acquired Immunodeficiency Syndrome)はHIVの感染によって引き起こされる後天性免疫不全症候群です。

 

 

リンパ球図式

 

 

 免疫は外部から侵入してくる異物(抗原)に対して、生体にとって有利に働く抗原抗体反応です。

 

 たとえば、細菌(Bacteria)が生体に侵入すると…

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免疫

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細菌が体内に侵入すると、侵入場所には好中球がまっ先に駆けつけ集合し、細菌の貪食を始めます。 そして25個程度の細菌を食べた後、破裂して細菌ともども死んでしまいます。 (好中球と細菌の死骸=膿、眼脂、耳漏、膿性鼻汁、痰など)
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次に、好中球と同様の働きをするものにマクロファージ(←単球がありますが、好中球よりも大きく「大食細胞」とも呼ばれています。 アメーバーのように移動しながら触手を伸ばし、細菌などを包みこんで消化してしまいます。 1個のマクロファージは100個程度の細菌を食します。 さらに、マクロファージは細菌を貪食しながら、間脳視床下部体温中枢を刺激(サイトカインの一種インターロイキン1)して体温を上昇させ、白血球の働きを活発にします。 と同時に、マクロファージは細菌(抗原)の情報を私達リンパ球成分のT細胞(ヘルパーT細胞)に伝達(モノカイン)するという重要な役割を担っています。
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マクロファージから情報を得たT細胞は細菌が「自己」か「非自己」かを見分けます。 「非自己」と認識した場合は、B細胞に抗体産出の指令(リンフォカイン)を発します。 つまり、T細胞には抗体産出を促進するヘルパーT細胞、逆に抑制する制御性T細胞などがあり、免疫系の制御の中心となっています。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はこのヘルパーT細胞を破壊します。後天性免疫不全症候群(AIDS]
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ヘルパ-T細胞から抗体産出の指令を受けたB細胞は分化・成熟してプラズマ細胞形質球となります。(通常、形質球の白血球百分比は0%)
さらに、プラズマ細胞は、特定の抗原(ここでは特定の細菌)に対応する特定の抗体(免疫グロブリンIgG=Immunogloburin G)を血清中に大量に産出します。 この抗体が細菌を攻撃(抗原抗体反応)して死滅させてしまうのです。 この時点で制御性T細胞が働いて抗体産出を中止させ、生体は細菌侵入前の状態に戻ります。
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 このように、免疫によって細菌を排除します

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 ところが

 HIVは免疫をつくるマクロファージヘルパーT細胞感染します。
(細胞表面への吸着、細胞内への侵入)

 

 

HIV感染

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ステップ1~3 カプシド脱殻、ウイルス遺伝子やたんぱく質の生産、ウイルスの複製

 HIVに感染したヘルパーT細胞からはウイルス構造のたんぱく質とウイルス粒子がつくられます。

ステップ4~5  細胞の破壊、ウイルス粒子放出

 大量につくられ、成熟したHIVはヘルパーT細胞を破壊してヘルパーT細胞の表面から飛び出していきます。

 そして、これらのHIVは新たなヘルパーT細胞に侵入して増殖を続けます。

 

.細胞

 

 

[感染]

 感染には①「性行為による感染」、②「血液による感染」、③「母子感染」がありますが、HIVが血液中で増殖しなければ感染は成立しません。

「性行為による感染

   セックスで感染するのは、精液や膣分泌液に含まれているHIVが尿道の粘膜や子宮の内膜を通って、その内側にある血管の中に入るからです。  皮膚にHIVが付着しても感染しないのは、粘膜はウイルスは通すが皮膚はウイルスを通さないからです。

   ウイルスが粘膜を通るためには長時間の接触が必要です。

「血液による感染」

   HIVを含んだ血液や血液製剤によって感染が成立するのは、HIVを直接血管の中に注入するからです。  

  また、麻薬の回し打ちも同じで、先に麻薬を打った人の血液に含まれるHIVが麻薬とともに血管の中に入ることにより感染します。

③「母子感染」

   HIVに感染している母親から生まれてくる子供は産道の中の血液や帝王切開のときに出る血液が体表の粘膜から吸収されたり、口から飲み込まれたりするなどの理由で HIV に感染することがあります。  確率としては、膣を通って生まれると10人中3人が感染し、帝王切開では10人中2人が感染するといわれています。

  さらに、生まれたときにはHIVに感染していない子供も、HIVに感染している母親から母乳をもらうと、HIVに感染します。  感染している母親は、せっかく出ている母乳であってもそれを子供に飲ませることができなくなります。

 

[臨床経過]

 HIVに感染すると、2~4週間後にインフルエンザ様症状(発熱、咽頭痛、頭痛、全身倦怠感、リンパ節腫脹、筋肉痛など)が出現します。急性症状がみられるのは20~50%で残りは無症状です。

 

 その後、HIVに対する免疫が誘導されてHIVの増殖が抑えられるので、血中HIVが一時的に減少するものの、ウイルスは完全に排除されることはありません。

 

 感染者は長い期間無症状で経過します(無症候性キャリア)。
しかし、経過とともにHIVの増殖が免疫による抑制を上まわり、宿主細胞のヘルパーT細胞がしだいに減少し、免疫不全状態に陥ります。この病態をエイズと呼びます。

 

 感染からエイズ発症までの期間は平均して約10年です。

 

 エイズはHIVに感染している症候群です。 HIV感染によって引き起こされた高度な免疫不全により、日和見感染症や腫瘍、認知症などの二次的疾患を合併します。

 

 エイズの段階にいたると、血中のHIVは増加し、ヘルパーT細胞は著明に減少します。全身症状(下痢、体重減少、発熱など)、日和見感染症(ニューモシスチス肺炎サイトメガロウイルス感染症、カンジダなどの真菌症抗酸菌症など)、腫瘍(カポジ肉腫リンパ腫など)、神経症状(脳症認知症など)などを合併して複雑な病状を呈します。

 

[予防]

 感染者の血液や体液にはHIVが含まれているので、院内感染および家庭内感染を起こすおそれがあります。ただし、

 HIV感染者が周辺にいたとしても、日常生活をともに過ごしていたとしても感染が広がることはありません。

[治療]

 抗HIV薬には核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTT)、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTT)、プロテアーゼ阻害薬(PT)、があります。さらに、

 作用機序の異なる抗HIV薬を組み合わせて投与する(HAART:highly active anti-retroviral therapy)療法により、治療効果が著しく向上しています。

 

 

 

 

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