主な病原微生物のチョコット知識
⑭発疹チフスリケッチア ⑮つつが虫病リケッチア
リケッチア
⑭発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)
⑮つつが虫病リケッチア(Orientia tsutsugamushi)
リケッチア(Rickettsia)は、2分裂によって増殖し、細胞壁を有するグラム陰性の細菌ですが、細菌よりも小さく(0.2~0.6*0.4~20μm)、生きた細胞の中でのみ増殖すること(偏性細胞内寄生性)から一般の細菌とは区別されています。
マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアは細菌とウイルスの中間体ですが、
細胞をもち、DNAが遺伝情報の担体なので「細菌」に分類されています。
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⑭発疹チフスリケッチア
[特徴]
発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)は、発疹チフス(epidemic typhus)の病原体です。
発疹チフスは感染後6~15日の潜伏期間のあと、突然の悪寒、高熱をもって発病し、頭痛、筋肉痛を伴います。
発熱後1~5日目に発疹(バラ疹)が全身に現われます。
意識障害、幻覚などの中枢神経症状、頻脈、血圧低下などの循環器障害を呈することもあります。
コロモジラミによって媒介されることが多いのですが、アタマジラミ、ケジラミによっても媒介されます。
[シラミ]
治療にはテトラサイクリン系抗生剤が有効です。
⑮つつが虫病リケッチア
[特徴]
つつが虫病(scrub typhus)の病原体はつつが虫病リケッチア(Orientia tsutsugamushi)です。
自然の環境で、体内にリケッチアを含んでいる動物をリザーバーといい、また、哺乳類にリケッチアの媒介を行う動物をベクターといいます。
つつが虫は、小型のダニで、リザーバーであり、同時にベクターでもあります。
つつが虫病はつつが虫に刺されたあと、約10日後に高熱、頭痛、関節痛などを伴って発病し、腹部や会陰部などのやわらかい皮膚に刺し口がみられ、発疹(紅斑)やリンパ節腫脹をきたします。
肺炎や脳炎などを合併して死にいたることもあります。
治療にはテトラサイクリン系抗生剤が有効です。
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