主な病原微生物のチョコット知識
⑯オーム病クラミドフィラ ⑰トラコーマクラミジア
⑱マイコプラズマ ⑲肺炎マイコプラズマ
クラミジア
⑯オーム病クラミドフィラ(Chlamydophilia psittaci)
⑰トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)
⑱マイコプラズマ(Mycoplasma)は
細菌に分類されるも、核膜と細胞壁なし。
⑲肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)
マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアは細菌とウイルスの中間体ですが、
細胞をもち、DNAが遺伝情報の担体なので「細菌」に分類されています。
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クラミジア(Chlamydia)はリケッチアよりも小さい、グラム陰性の病原体です。
代謝エネルギー生産系がなく、エネルギーを宿主細胞に依存するため、単独で増殖できない偏性細胞内寄生性があります。
クラミジア科(Chlamydiaceae)には、クラミドフィラ属(Chlamydophila)とクラミジア属(Chlamydia)があります。
クラミドフィラ属
⑯オーム病クラミドフィラ
[特徴]
オーム病(psittacosis)の病原体はオーム病クラミドフィラ(Chlamydophilia psittaci)です。
オーム病クラミドフィラはオームやインコのほか鳥類に広く感染して、肝臓や脾臓で増殖するクラミジアで、そのクラミジア感染鳥の排泄物をヒトが吸入することによって感染します。
ヒトからヒトへは伝播しません。
オーム病は、感染後約10日の潜伏期ののち急激に発症し、悪寒、頭痛、倦怠感など軽度のインフルエンザ様の症状から、さらには全身症状を伴う異型肺炎の症状が現われることもあります。
[治療]
治療にはテトラサイクリン系抗生剤が有効です。
クラミジア属
⑰トラコーマクラミジア
[特徴]
そ径リンパ肉芽腫(lymphogranuloma urethritis)やトラコーマ(trachoma)はトラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)によって発症する感染症です。
そ径リンパ肉芽腫は性交によって感染し、そ径リンパ節の化膿や全身性感染症を引き起こします。また、
トラコーマは、急性濾胞性結膜炎として発症し、やがて角膜に血管が侵入して慢性化します。
角膜混濁などによって視力低下を起こします。
いずれも、ヒトからヒトへ伝播します。
[治療]
治療にはテトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系抗生剤が有効です。
⑱マイコプラズマ
マイコプラズマ(Mycoplasma)はグラム陰性の小型細菌に分類されますが、核膜と細胞壁がありません。
マイコプラズマは自然界に広く分布していて、あらゆる動物、植物に寄生し、ヒトの粘膜にも常在します。
ヒトに病原性を示すのはマイコプラズマ属の肺炎マイコプラズマが重要です。
⑲肺炎マイコプラズマ
[特徴]
肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)は、マイコプラズマ肺炎(mycoplasma pneumoniae)の病原菌です。
細胞壁がないため柔軟で多形性、大きさも0.1~0.5μmとまちまちです。
マイコプラズマ肺炎は頭痛、発熱、倦怠感などのインフルエンザ様症状で発症し、高熱と激しい咳が続きます。
一般に1~2週間で軽快しますが、中耳炎、発疹、肝機能障害、心内膜炎、心筋炎、ギラン・バレー症候群、髄膜炎、血小板減少症などの肺外合併症を起こすこともあります。
[治療]
原核細胞の細菌マイコプラズマには核膜がないばかりでなく、細胞壁もないので、ペニシリン系、セフェム系抗生物質(いずれも細胞壁合成阻害剤)の効果は期待できません。
たんぱく合成阻害剤のマクロライド系かテトラサイクリン系、または、核酸(DNA)合成阻害剤のニューキノロン系の抗生剤が投与されます。
ただ、妊婦と小児に対して、テトラサイクリン系は骨や歯牙形成への有害作用、ニューキノロン系は安全性未確認のため、使用するには細心の注意が必要です。
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