“免疫”のチョコット知識⑨ 臓器移植と免疫
レシピエント ドナー 拒絶反応
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臓器移植と免疫
臓器移植は、事故や病気や生まれつきの奇形などで、”大切な臓器の機能が失われ、命が危ぶまれるようなとき、他人の臓器の提供を受けて移植することで、その臓器の機能を回復させる医療”といわれています。
臓器の提供を受ける人はレシピエント(recipient)、
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[レシピエント]
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臓器を提供する人はドナー(donor)と呼ばれます。
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[ドナー]
ところが、
ドナーから提供された大切な臓器といえども、レシピエントからみれば、ただ単に異種たんぱく「異物」にほかなりません。
そして、レシピエントの免疫は、その異物とみなされた大事な臓器をいつものルールに従って排除するように働きます。
このドナーの臓器とレシピエントとの、臓器移植後の一連の生体反応が拒絶反応(rejection)です。
拒絶反応は移植片を異物と認識したヘルパーT細胞によって起こります。
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[細胞性免疫] [体液性免疫]
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移植片を異物と認識したヘルパ-T細胞は抗体産出の指令をB細胞(Th2)に出すと、指令を受けたB細胞は分化・成熟してプラズマ細胞(形質球)となります。
(通常、形質球の白血球百分比は0%)
さらに、プラズマ細胞は、特定の異物(ここでは特定の臓器)に対応する特定の抗体(免疫グロブリン IgG)を血清中に産出し、この抗体が移植臓器を攻撃(抗原抗体反応)するため拒絶反応が起こります。[体液性免疫]
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また、移植片の情報を取り込んだマクロファージから、異物としての抗原提示を受けたヘルパーT細胞が、キラーT細胞を活性化(Th1)します。
活性化されたキラーT細胞が移植臓器を攻撃することにより拒絶反応が起こります。[細胞性免疫]
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拒絶反応には臓器移植後から24時間以内に発生する超急性拒絶反応と、移植後1週間から3ヶ月の間に起こる急性拒絶反応と、それ以降に起こる慢性拒絶反応とがあります。
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超急性拒絶反応…..移植臓器に対して体液性免疫(抗体)が働くと考えられています。血栓などが形成され、臓器に血液が流れなくなるので、超急性拒絶のときは移植臓器を摘出します。
急性拒絶反応…..細胞性免疫が主体。異物であるドナー臓器に対してキラーT細胞が攻撃するために起こります。
慢性拒絶反応…..移植後、数ヶ月から数年かけて徐々に進行する拒絶反応です。抗体やキラーT細胞の作用と考えられていますが詳細は不明です。血管が障害され、腎臓などの機能低下を起こします。
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そして、
移植された臓器への拒絶反応を回避するためには、
主にリンパ球の活性化と増殖を阻止する
免疫抑制剤(imunosuppressive drug)が使用されます。
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また、
特定抗原に対する
特異的拒絶反応の欠如あるいは抑制状態のことは、
免疫寛容(immune tolerance)といわれます。
(EX.角膜、精液(精子)、胎児など)
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この度!地下足袋!リンクの旅へどうぞ~
詳しくは花野井薬局健康コラム“なにをいまさら、されど「アレルギー」”を
ご覧ください。
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