“免疫”のチョコット知識⑩
免疫抑制剤
免疫抑制剤
免疫抑制剤(imunosuppressive drug)は、自己免疫疾患やアレルギー、移植臓器の免疫反応を抑えるのに使用されます。
*自己免疫疾患(関節リウマチ、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎など)の治療
.
*アレルギー(気管支喘息など)の治療.
アレルギーマーチとはアレルギー疾患が小さい頃から始まり、
年齢とともに姿を変えて連続的に発症、移行、併発する現象
.
*移植した臓器(心臓、腎臓、肝臓など)や移植した組織(骨髄、骨、皮膚など)に対する拒絶反応の抑制
[心臓]
副作用や危険性のない免疫抑制剤はありません。
大部分の免疫抑制剤は非選択的に作用するため、抑制された免疫は、感染の拡大や悪性腫瘍の発生などをうまく抑えることができなくなります。そうなると、
高血圧、脂質異常、高血糖、消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)、肝臓や腎臓の機能障害などの副作用が現われます。
主な免疫抑制剤には
Ⅰ.特異的シグナル伝達阻害薬
Ⅱ.細胞毒性薬
Ⅲ.副腎皮質ステロイド
があります。
Ⅰ.特異的シグナル伝達阻害薬
(リンパ球の活性化と増殖を阻止する薬剤)
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細胞性免疫(Th1) 体液性免疫(Th2)
[T細胞 B細胞]
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代表的な薬剤に
シクロスポリン(ネオーラル)と
タクロリムス(プログラフ)、
シロリムス(ラパリムス、<誘>アフィニトール)があります。
これらは主としてヘルパーT細胞に作用して、細胞内シグナル伝達を阻害することで、インターロイキン2の産生を阻止します。(インターロイキン2(IL-2)はT細胞を活性化し、増殖を促します)
シグナル伝達阻害薬は移植臓器を攻撃するキラーT細胞などの働きを強く抑えることにより、免疫反応を抑制します。
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Ⅱ.細胞毒性薬
(細胞毒性薬はDNAの複製を阻害する薬剤)
☆ 図イレル
[DNA]
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がん細胞やT細胞、B細胞は分裂増殖するために
活発なDNA複製を行ないます。
[DNA複製]
細胞毒性薬はT細胞とB細胞のDNA複製を阻害し、
細胞分裂と増殖を抑えるため、免疫反応を抑制します。
免疫抑制剤としては、がんの治療のときよりも少量を用います。それでもT細胞とB細胞の分裂増殖には影響を及ぼし、免疫反応を低下させます。
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代謝拮抗薬
(核酸合成阻害)
アザチオプリン…..プリン合成阻害薬(アザニン、イムラン)
メルカプトプリン…プリン合成阻害薬(ロイケリン)
ミゾリピン………..プリン合成阻害薬(ブレディニン)
レフルノミド……..ピリミジン合成阻害薬(アラバ)
メトトレキサート…葉酸拮抗薬(リウマトレックス)など
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細胞障害性抗生物質
(DNAの中に入り込んでDNAの複製を阻害したり、DNA複製の酵素(DNAポリメラーゼ)の働きを阻害します。)
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ダクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC ダウノルビシン
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アルキル化薬
(DNAをアルキル化してDNAの複製阻害)
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シクロフォスファミド(エンドキサンP)
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Ⅲ.副腎皮質ステロイド
ステロイドはグルココルチコイド受容体を刺激して
免疫抑制作用を現わします。
ステロイドは低用量では抗炎症作用を示しますが、
ステロイドの高用量ではインターロイキン-2(IL-2)を含めた
サイトカインの産生を抑えることにより、
免疫反応を抑制します。
また、リンパ球の増殖や分化を直接抑える作用、マクロファージの活性化を抑える作用なども現われます。
(プレドニゾロン メチルプレドニゾロン など)
免疫抑制剤の全般に共通する副作用
※ウイルスに感染しやすくなる。
※骨髄の働きを抑えるので造血障害がある。
※胎児に形態異常を招く可能性がある。
※肝障害、脱毛、胃腸障害
などがあります。
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”膠原病”詳しくは、花野井薬局プライベートノート
ご覧ください。
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