“呼吸”のチョコット知識②
糖質代謝 解糖系
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内呼吸の反応は燃焼のように一瞬にして一度に多量の熱を発生して終わるものではなく、細胞内で三大栄養素などの有機物が酵素の働きで少しずつ分解されていく複雑な反応です。
Ⅰ.糖質代謝
三大栄養素のうち、糖質は消化されて、最終的に単糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース)を産生します。
その単糖類を炭酸ガスと水とにまで分解してエネルギーを取り出す反応を糖質代謝といいます。.
O2:酸素
CO2:炭酸ガス(二酸化炭素)H2O:水
糖質代謝は解糖系→TCAサイクル→電子伝達系の3つの反応段階から成り立っています。
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ミトコンドリア
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[ミトコンドリア]
Ⅰ.a解糖系(Glycolysis chain)
細胞の細胞質基質で行なわれ、単糖類のブドウ糖(Glucose)を分解してピルビン酸をつくる代謝経路を解糖系と呼びます。
1分子のブドウ糖が2分子のピルビン酸にまで分解され、2H2と2ATPを産生する過程です。酸素を必要としません。
ここで、ピルビン酸からはずれたH2は脱水素酵素の補酵素NADと結合してNADH2となり、電子伝達系に入っていきます。
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ブドウ糖 → 2ピルビン酸+2H2+2ATP(エネルギー)
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2NADH2
↓
電子伝達系
[ナイアシンはNAD(Niacinamid adenine dinucleotide)を構成し、
種々の酵素の補酵素として働きます。].
解糖系では酸素や炭酸ガスの出入りはありません。解糖系は酸素がなくても進む反応です。ただ、十分に酸素がある場合には、解糖系で生成されたピルビン酸は、ミトコンドリアのマトリックスにおけるTCAサイクルとミトコンドリアの内膜における電子伝達系を使って、炭酸ガスと水とにまで完全に分解されます。
赤血球のようにミトコンドリアがない細胞や、酸素の供給が間に合わないほどの激しい運動をしている筋肉の組織、増殖が活発ながん組織などの酸素が不足する細胞では、解糖系で生成されたピルビン酸は、筋肉の収縮を妨げ、疲れの元となる乳酸になります。
筋肉でできた乳酸は血液中に放出され、肝臓でブドウ糖に戻り、血液を介して再び筋肉細胞に入り、エネルギー産生のために使われます。乳酸など糖質以外の物質からブドウ糖をつくる反応は糖新生(gluconeogenesis)と呼ばれています。
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結局! 薬局! 花野井薬局!
ATP(Adenosine triphosphate)はADP(Adenosine diphosphate)に分解されるときに大きな自由エネルギー(E)を放出します。
[ATPの構造(模式図)]
ATP + H2O ⇔ ADP + Pi(無機リン酸)+E
ATP:アデノシン三リン酸
ADP:アデノシン二リン酸
E(標準自由エネルギー変化):⊿G。,=-7.3 kcal/mol
ATPは生体内に広く分布し、離れたり・結合したりすることで、エネルギーの放出・貯蔵、さらには、物質の代謝や物質の合成のときに大きな役割を果たします。その重要性から「生体のエネルギー通貨」ともいわれます。
また、筋肉においてはクレアチンリン酸が高エネルギー結合をもち、ADPからATPを再生するので筋肉「エネルギー貯蔵物質」と考えられています。
クレアチンリン酸+ADP⇔クレアチン+ATP
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酵素
酵素は生活細胞の中で生成される生体触媒です。生体内での多くの化学反応は酵素によって触媒され、その触媒作用は特定の基質に限られています(基質特異性)。
酵素はその本体がたんぱく質なので、熱に不安定です。そして温度(至適温度)やpH(至適pH)によっても酵素活性が影響を受けます。
(ヒト生体内における物質代謝、エネルギー代謝は、常温、常圧、中性付近で特異的な酵素の触媒作用によって進められています。)
アポ酵素(Apoenzyme)と補酵素(大部分はビタミンB群)を合わせたものをホロ酵素(Holoenzyme)といい、この形になってはじめて生理活性酵素として働きます。
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ホロ酵素 | ← | アポ酵素 | + | 補酵素 |
(活性) | (不活性) | ビタミンB群 |
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ピルビン酸脱水素酵素
TPP
(ビタミンB1)
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ピルビン酸脱炭酸酵素など
[解糖系・TCAサイクル]
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