性感染症のチョコット知識②
膣トリコモナス症、梅毒
(1)膣トリコモナス症
病原体は膣トリコモナス( Trichomonas vaginalis )という原虫です。
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性行為によって異性から感染し、膣内で増殖、また、尿道や前立腺にも寄生します。
感染すると膣炎や子宮頸管炎、卵管炎などを引き起こし、悪臭を伴うおりもの、かゆみも生じます。男性の場合は尿道炎などを起こすが症状が軽いため、診察や治療を受けない人が多く、むしろ男性の方が感染源となって女性に感染させているケースが多いようです。
抗トリコモナス剤の膣錠や内服薬で根治できます。
内服薬は1日2回、朝夕食後に7~10日間服用を続けます。
ただし、セックスパートナーが同時に治療しなければいけません。
(2)梅毒( Lues )
梅毒トリポネーマ( Treponema pallidum )の感染によって発症する性感染症で、この病原体は性交などの接触により皮膚粘膜のわずかな傷からも侵入します。
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■梅毒第1期 感染後3週
性行為により粘膜または皮膚から侵入します。母体に感染があると胎児に経胎盤感染し、早産.死産となります。(先天梅毒)
約3週間の潜伏期後、病原体の感染部位(性器、口腔内、手指など)に赤くてかたい痛みのないしこりやかたい潰瘍(硬性下疳)を形成します。
また、 病原体侵入所属リンパ節は硬く腫れるが痛みはありません。
■梅毒第2期 感染後3ヶ月
病原体は血液により散らばり、皮膚にバラ診、丘疹、膿疱などの梅毒疹が現われます。
梅毒疹は梅毒性バラ疹といわれ、皮疹の浸潤が強いわりには自覚症状はありません。
梅毒反応は強陽性を呈し、高い抗体価を示します。
消退と再発を1~3年間にわたり繰り返します。
■梅毒第3期 感染後3年
3年を経過すると皮膚の潰瘍と各臓器にゴム腫がみられるようになります。
■梅毒第4期 10年以上
脳、脊髄など中枢神経実質に変性変化をきたします。そして麻痺性痴呆などが現われます。
発疹などの症状の発現が認められる梅毒 →顕性梅毒
発疹などの症状の発現が認められない梅毒→潜伏梅毒
合成ペニシリン系、マクロライド系、テトラサイクリン系、セフェム系抗生物質を投与します。
抗菌剤投与開始2~24時間後に、菌体破壊により大量の菌体成分が漏出することで、発熱、悪寒、頭痛などの病状の増悪が起こることがあります。
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