感染症のチョコット知識④
レンサ球菌、肺炎球菌が起こす感染症
A.グラム陽性球菌感染症
b.レンサ球菌が起こす感染症
レンサ球菌
[特徴]
レンサ球菌は球状や楕円状をした球菌で鎖状に連なっています。なかでも、
溶血性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)は溶血性によってα、β、γに分類され、さらに、βはA群、B群、C群、G群などに分けられます。
① リウマチ熱
A群β溶血性レンサ球菌の産生する溶血毒素(ストレプトリジン-O : Streptolysin-O)は抗原性が強いため、溶血性レンサ球菌感染症の血液中にはストレプトリジン-O抗体(ASO: Anti-Streptolysin-O)が多数つくられます。
リウマチ熱は、この抗体がA群β溶血性レンサ球菌と間違えて関節や心筋に対して免疫反応(からだに有害な異物と勘違いして関節や心筋などを攻撃)を起こすことにより発症するものと考えられています。
[ レンサ球菌のイメージ図 ]
② 人食いバクテリア
筋肉の組織を壊死させることから「人食いバクテリア」とも呼ばれる劇症型溶血性レンサ球菌感染症の原因となるのは、主に、A群β溶血性レンサ球菌といわれています。
発症すると数時間で重症化して死に至ることもあるそうです。
症状としては、まず、手足の腫れや痛みなどが現われ、発熱を伴います。腫れは数時間で広がり、筋肉を覆う筋膜の壊死を起こします。
菌が全身に広がると多臓器不全などを引き起こし、数十時間で死亡することもあり、致死率は30%にも上るとのことです。
治療にはペニシリン系の抗生剤が効きますが、菌が全身に回る前の早い段階での使用をすすめています。
[主な感染症]
リウマチ熱、咽頭炎、扁桃炎、猩紅熱、丹毒、蜂窩織炎、急性糸球体腎炎など。
c.肺炎球菌(肺炎レンサ球菌)が起こす感染症
肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は肺炎などの呼吸器の感染症や全身性感染症を引き起こす細菌です。また、 双球菌(diplococci)で免疫機能の働きにくい莢膜(Capsule)を有しています。
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[肺炎球菌のイメージ図]
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成人が日常的にかかる肺炎の原因菌としては、肺炎球菌が一番多いといわれています。肺炎で亡くなる方の約95%が65歳以上であることから、とくに、高齢者では肺炎球菌による肺炎などを予防することが重要です。
2014年10月から「肺炎球菌ワクチン」による、高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種の制度がはじまりました。
[ 主な感染症 ]
菌血症(血液中に細菌が認められる状態)、
敗血症(細菌が血液中で増殖して全身に炎症を引き起こした重篤な状態)、
細菌性髄膜炎、中耳炎、大葉性肺炎、など
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