感染症のチョコット知識⑨
ジフテリア菌、結核菌、MAC菌、ライ菌が起こす感染症
C.グラム陽性桿菌感染症
[G(+):グラム陽性、 G(-):グラム陰性]
胞子(芽胞)
g.ジフテリア菌が起こす感染症(感染症のチョコット知識⑥⑦⑧を参照)
ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)は好気性芽胞非形成菌でジフテリア(二類感染症)を引き起こす原因菌です。
ジフテリアは扁桃付近に粘りのある灰色の偽膜が付着するのが特徴です。
咳などにより飛沫を介して感染し、発熱、咽頭痛、嚥下痛などを伴います。
[のどに白い膜が…]
偽膜が形成されることにより、呼吸困難から気道閉塞を来たし、死に至ることもあります。
[主な感染症]
咽頭・扁桃ジフテリア、喉頭ジフテリア、
皮膚ジフテリア、眼結膜ジフテリア、生殖器ジフテリアなど
抗酸菌
抗酸菌はマイコバクテリウム属に属し、塩酸酸性アルコールで脱色されにくい性質をもつ、グラム陽性桿菌好気性芽胞非形成菌群の総称です。
h.結核菌群:Mycobacterium tuberculosis など培養可能な抗酸菌群
*非結核性抗酸菌:結核菌群、ライ菌群以外の培養可能な抗酸菌群
i.ライ菌群:培養できない抗酸菌群。人に感染するのは主にMycobacterium leprae
h.結核菌が起こす感染症
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)はグラム陽性桿菌好気性芽胞非形成菌群(マイコバクテリウム属)に属し、塩酸酸性アルコールで脱色されにくい性質(抗酸菌)をもち、結核(二類感染症)を引き起こす原因菌です。
結核菌に感染しても大半は症状を発症することは少なく、無症状、潜伏感染が一般的です。
しかし、免疫能力が劣った場合は、せきや寝汗(盗汗)、全身倦怠感、食欲不振、体重減少、長期間続く37℃前後の微熱などの症状が発症します。
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ツベルクリン反応検査とBCG接種
以前は乳幼児にツベルクリン反応検査を行なって、陰性者のみにBCGを接種していました。しかし、
平成17年(2005年)4月からは生後6ヶ月までの定期接種時には、ツベルクリン反応検査を行なわずに直接BCGを接種するようになりました。
生後6ヶ月以後の乳幼児に対しては、ツベルクリン反応検査を行なってからBCGを接種するのが一般的です。
また、青年や成人がBCGを打っても肺結核の感染を予防する効果は認められていないので、BCGの接種は不必要ともいわれています。
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結核の治療には抗結核薬を投与します。
イソニアジド(Isoniazid : INH)
リファンピシン(Rifampicin : RFP)
エタンブトール(Ethambutol : EB)
ストレプトマイシン(Streptomycin : SM)
ピラジナミド(Pyrazinamide : PZA)
結核の治療は長期を要するため、副作用と耐性菌の出現を避ける目的で多剤併用療法が行なわれます。
[治療と予防にはきれいな空気が一番]
[主な感染症]
肺結核、腎結核、脊椎カリエス、
結核性髄膜炎、骨・関節結核など
*非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria)
非結核性抗酸菌は結核菌群とライ菌群を除く抗酸菌で、この菌にヒトが感染すると結核に似た病変を起こします。
これらの菌は一般に抗結核薬に抵抗性が強く、化学療法はきわめて困難です。
肺のみならず、皮膚や表在性リンパ節などへの感染もあるとのことです。
非結核性抗酸菌としては、Mycobacterium aviumや Mycobacterium intracellurare、Mycobacterium kansasii などが存在しますが、とくに、Mycobacterium aviumと Mycobacterium intracellurareの2菌腫は区別しないMycobacterium avium complex(MAC菌)と呼ばれています。
肺MAC症
肺MAC症は結核菌と同じマイコバクテリウム属に属するMAC菌の感染によって起こる、最近、急増している肺感染症です。
急増している原因として考えられているのが浴室での感染といわれています。
MAC菌は24時間風呂のフィルターの中に非常にたくさん存在していることが多く、42℃前後の温度で増殖しやすく、気密性の高い浴室はMAC菌にとっては最適の環境です。そして、
浴槽のお湯の注ぎ口やシャワーヘッドのぬめりやゆあかのほか、土壌や水の中にもいます。そのような所で、
しぶきや霧状の水滴、土ぼこりなどが発生し、その中のMAC菌を肺に吸い込むと感染すると考えられています。ただ、
MAC菌は温水の中に多いので、感染とプールや温泉とはある程度の関連はあるが、どの程度かなどはまだよくわかっていない、とのことです。.
MAC菌は結核菌とくらべて病原性が弱いため、感染してもしばらくは症状のない状態が続くそうです。その後、
肺の炎症が進むと、せきやたん、血の混じったたんなどの症状が現われますが、結核とは異なり、人から人へ感染することはない、といわれています。
肺MAC症が進むと一時的な発熱や全身のだるさ、食欲低下よる体重減少といった症状が起こるようになり、こうした症状が10年以上の長い時間をかけてゆっくりと肺MAC症は進行していくそうです。
[主な感染症]
肺MAC症
i.ライ菌が起こす感染症
ライ菌(Mycobacterium leplae)は結核菌と同様にマイコバクテリウム属の細菌で、「抗酸菌群」に属します。ライ菌は末梢神経と皮膚がおかされるハンセン病の原因になる細菌です。
[主な感染症]
ハンセン病
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