感染症のチョコット知識㉑ ヘルペスウイルス、
水痘・帯状疱疹ウイルスが起こす感染症
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(f)ウイルスが起こす感染症その1
細菌 マイコプラズマ リケッチア クラミジア ウイルスの特徴
マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアは細菌とウイルスの中間体ですが、
細胞をもち、DNAが遺伝情報の担体なので「細菌」に分類されています。
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a.単純ヘルペスウイルスが起こす感染症(DNAウイルス)
ヘルペスウイルスは宿主に一度感染したら持続感染および潜伏感染を起こすのが特徴です。
単純ヘルペスウイルス(HSV:Herpes simplex virus Herpesviridae)は主として口唇や眼、陰部に感染します。
神経系組織と親和性が強く、口唇、眼、陰部などの粘膜に感染し、感染部位において水疱性や潰瘍性の病変を起こします。
その過程で知覚神経の三叉神経(上半身)や坐骨神経(下半身)の神経節に入り潜伏感染します。
いったん、知覚神経節に潜伏感染すると、宿主の免疫の低下など、種々の要因によって再発を繰り返します。
[口唇ヘルペス]
[主な感染症]
口唇ヘルペス、眼瞼ヘルペス、性器ヘルペスなど
b.水痘・帯状疱疹ウイルスが起こす感染症(DNAウイルス)
水痘(varicella:みずぼうそう)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:Varicella zoster virus Herpesviridae)に初めて感染したときの小児の発熱や発疹を主症状とする予後良好な病気です。
しかし、成人になってから初めて感染すると、または、免疫不全のヒトが感染すると重症化することがあります。
VZVは伝染力が強く、飛沫感染で気道分泌液や水疱内容が感染源となって局所のリンパ節で増殖して全身に広がり、皮膚・粘膜に到達して発疹や水疱を形成します。潜伏期は約2週間です。
帯状疱疹(herpes zoster)は、小児期に感染した水痘・帯状疱疹ウイルスが脊髄神経に潜伏感染し、疲労や免疫の低下など種々の要因で成人になってから再発したものです。脳神経や脊髄知覚神経に沿った皮膚面の頭(三叉神経)、胸や腹(肋間神経)、腰や四肢(坐骨神経)などに激痛を伴う知覚神経支配領域に水疱性病変を形成する病気です。
水疱が治癒したのちも、しばしば、帯状疱疹後神経痛が残ります。顔面の帯状疱疹は顔面神経麻痺(Bell麻痺)をきたすことがあります。
[帯状疱疹]
[主な感染症]
水痘、ライ症候群(解熱剤とくにアスピリンと関連)、帯状疱疹など
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