感染症のチョコット知識㉓ HIVが起こす感染症
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(f)ウイルスが起こす感染症その3
細菌 マイコプラズマ リケッチア クラミジア ウイルスの特徴
マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアは細菌とウイルスの中間体ですが、
細胞をもち、DNAが遺伝情報の担体なので「細菌」に分類されています。
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d.HIVが起こす感染症(RNAウイルス)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV:Human immunodeficiency virus)は後天性免疫不全症候群(エイズ:Acquired Immunodeficiency Syndrome)の原因ウイルスです。マクロファージとヘルパーT細胞に感染して、進行性の、重症の免疫不全を引き起こします。
[模式図]
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HIVに感染すると、2~4週間後にインフルエンザ様症状(発熱、咽頭痛、頭痛、全身倦怠感、リンパ節腫脹、筋肉痛など)が出現します。急性症状がみられるのは20~50%で残りは無症状です。
その後、HIVに対する免疫が誘導されてHIVの増殖が抑えられるので、血中HIVが一時的に減少するものの、ウイルスは完全に排除されることはありません。
感染者は長い期間無症状で経過します(無症候性キャリア)。
しかし、経過とともにHIVの増殖が免疫による抑制を上まわり、宿主細胞のヘルパーT細胞がしだいに減少し、免疫不全状態に陥ります。この病態をエイズと呼びます。
感染からエイズ発症までの期間は平均して約10年です。
エイズはHIVに感染している症候群です。 HIV感染によって引き起こされた高度な免疫不全により、日和見感染症や腫瘍、認知症などの二次的疾患を合併します。
エイズの段階にいたると、血中のHIVは増加し、ヘルパーT細胞は著明に減少します。全身症状(下痢、体重減少、発熱など)、日和見感染症(ニューモシスチス肺炎、サイトメガロウイルス感染症、カンジダなどの真菌症、抗酸菌症など)、腫瘍(カポジ肉腫、リンパ腫など)、神経症状(脳症、認知症など)などを合併して複雑な病状を呈します。
[主な感染症]
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