感染症のチョコット知識㉕ ムンプスウイルス、
麻疹ウイルス、風疹ウイルスが起こす感染症
(f)ウイルスが起こす感染症その5
細菌 マイコプラズマ リケッチア クラミジア ウイルスの特徴
マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアは細菌とウイルスの中間体ですが、
細胞をもち、DNAが遺伝情報の担体なので「細菌」に分類されています。
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f.ムンプス、麻疹、風疹
ムンプス(Mupus)、麻疹(Measles)、風疹(Rubella)は小児の間でよく流行する病気で、三種混合のMMRワクチンの接種が推奨されています。
ⅰ.ムンプスウイルスが起こす感染症(RNAウイルス)
ムンプスウイルス(Mumps virus)は流行性耳下腺炎(mumps:おたふくかぜ)の病原体です。ウイルス保有者(carrier)または罹患者からの飛沫を介して鼻腔や上気道粘膜に感染し、増殖します。
増殖しながら、ムンプスウイルスはウイルス血症(ウイルスが血流に侵入し全身へと移動する状態)を起こして全身の臓器に広がり、とくに、腺組織(唾液腺、精巣、卵巣、膵臓など)と神経組織(内耳、髄膜など)に好んで感染します。
一般的には18~21日の潜伏期ののち発熱し、片側または両側の耳下腺の腫脹と疼痛を主な症状とします。
顎下腺や舌下腺がおかされたり、無菌性髄膜炎や難聴(ムンプス難聴)を合併することもあります。
[流行性耳下腺炎].
2~15歳の年齢層までに大多数は感染を経験します。一度罹患すれば終生免疫を獲得します。
思春期以後の成人が感染した場合、合併症として精巣炎や卵巣炎を起こすことがありますが、不妊の原因となる例は稀とのことです。
[主な感染症]
流行性耳下腺炎
ⅱ.麻疹ウイルスが起こす感染症(RNAウイルス)
麻疹ウイルス(Measles virus)は麻疹(measles:はしか)の原因ウイルスです。麻疹ウイルスは、罹患者の鼻咽腔分泌物の飛沫感染や空気感染、接触感染によってヒトからヒトに非常に強力に伝染します。
麻疹の潜伏期は10~14日で、上気道に炎症を起こし、ついで、ウイルス血症に移行します。
発熱やせき、鼻水、くしゃみ、結膜炎、下痢、口腔粘膜に粟粒大の白色斑(コプリック斑:koplik斑)などを発症します。このとき多量のウイルスが排泄されるので、最も感染力が強い時期です。
[麻疹]
その後、いったん熱が下がると全身に発疹が現われて、再び熱が上がります。中耳炎や肺炎、脳炎を併発することもあります。
[主な感染症]
麻疹
ⅲ.風疹ウイルスが起こす感染症(RNAウイルス)
風疹ウイルス(Rubella virus)はヒトが唯一の宿主(host)で、経気道的に感染します。水平伝播では風疹(rubella:三日はしか)を、垂直伝播では胎盤を介して胎児に母児感染し先天性風疹症候群(CRS:congenital rubella syndrome)を引き起こします。
風疹ウイルスは飛沫を介して上気道から侵入し、気道上皮における局所感染ののち、ウイルス血症を起こすため、皮膚、鼻咽腔をはじめ全身に感染が広がります。2~3週間の潜伏期を経て発熱、発疹(顔面から出現)、リンパ節腫脹(頸部、耳介後部に著明)を主徴として発症します。
飛沫感染のほかに接触による感染もあります。風疹そのものは軽い疾患で、予後は良いそうです。
[風疹]
妊婦が妊娠初期から4ヶ月目ころまでに風疹ウイルスに初感染すると、ウイルス血症を起こし経胎盤的に胎児に感染し、種々の臓器に障害を与えます。多くは死産や流産をきたします。生まれても奇形(先天性風疹症候群)が見られることがあります。
先天性風疹症候群は、白内障、内耳性難聴、心臓奇形(心室中隔欠損症、動脈管開存症、心房中隔欠損症、肺動脈狭窄など)を3主徴とします。
[主な感染症]
風疹
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この度!地下足袋!リンクの旅へどうぞ~
花野井薬局健康コラム「なにをいまさら、されど『心臓病』」を
ご覧ください。
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