Ⅴ.皮膚感覚器
皮膚は人体を覆うだけではなく、外界からの情報を感知する感覚器の一つです。
皮膚はヒトにとって最大の器官。
皮膚は体重の15~20%を占め、表皮(上皮組織)真皮(結合組織)、皮下組織(結合組織、脂肪組織)からできています。
皮膚の表皮には汗腺、脂腺、毛、爪などの付属器官があり、真皮には血管やリンパ管、多くの神経末端、肥満細胞やマクロファージなどの免疫系細胞が存在し、そして、
その真皮には温覚、冷覚、圧覚、痛覚、触覚の五つの感覚を感知する点状の受容器があります。
[皮膚の模式図]
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温覚…熱いものに触れて熱を吸収し、皮膚温度が上昇するのを感知します。
……………….ルフィニ小体、自由神経末端が関与します。
冷覚…冷たいものに触れたとき、皮膚温度が下降するのを感知します。
……………….クラウゼ小体、自由神経末端が関与します。
圧覚…2種類の受容器があり、弱い圧力と強い圧力を感じ分けます。
……………….パチニ小体、マイスネル小体が関与します。
痛覚…神経末端が皮膚に加わった痛みを感知します。
………………..自由神経末端が関与します。
触覚…毛根の周囲に分布し、ものに触れたときにその手触りを感知します。
……………….パチニ小体、マイスネル小体が関与します。
皮膚の機能には感覚受容以外に外界との障壁、体温調節、免疫機能などがあります。
ヒトの体温は36.5度前後に維持されていますが、それには皮膚の働きが大きく関わっています。
気温が低いときは、真皮の中にある立毛筋が収縮して毛穴や汗腺の穴を塞ぎ、体から熱が逃げるのを防ぎます。
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[汗腺の模式図]
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気温が高いときは、汗腺から汗が出て皮膚の表面を濡らし、その気化熱を体から奪うことによって体温が上がりすぎるのを防ぎます。
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これらの一連の体温調節機能は、間脳の視床下部にある体温中枢から発せられる指令よるものです。
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[視床下部]
アトピー性皮膚炎(免疫機能のひとつ)
過剰な抗原抗体反応が病的な経過を示すものを“アレルギー(Allergy)”といい、アトピー性皮膚炎はアレルギーの一種のアトピー体質という特異な体質を背景に起こる皮膚炎です。
[主なアレルギー疾患]
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乳幼児に発症しやすいのが特徴ですが、大人にも見られ、大人の場合は慢性化・重症化の傾向があります。
治療はステロイドホルモンの塗布や抗ヒスタミン剤の内服などによる対症療法が主体となっています。
特効薬やこれといった治療法も確立していない現在、こじらせないように気をつけながら、根気よくアトピー性皮膚炎とつきあっていくことが大切です。
アレルギー疾患の発症の予防やアレルギーマーチの進行を抑えるには、アレルギー素因のある人とくに妊婦さんは、卵(卵は抗原性強く、他の抗原に対する抗体をも刺激増加させることが知られている。)の過剰摂取には注意しましょう。
たこと魚の目
たこも魚の目も角質が厚くなったもので、同じところに繰り返し加わる圧力や摩擦が原因です。
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[たこの模式図]
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[魚の目の模式図]
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たこは角質を削り取るだけで治療できますが、魚の目は角質の芯を取り除かなければならないので、皮膚科を受診するほうが確実です。
やけど(火傷)
皮膚は体を保護するだけでなく、皮膚呼吸をしたり、汗を分泌したり、いろいろな役割を担っています。
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[やけどの分類]
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やけどの程度は深さと面積から、第1度、第2度、第3度に分類されています。
やけどがひどく、治療をしても皮膚の自然再生が難しい場合は、からだの他の部分の皮膚を移植する手術が行なわれる、とのことです。
帯状疱疹(herpes zoster)は、単純ヘルペスウイルスと同様に知覚神経節に潜伏感染するVZV(水痘・帯状疱疹ウイルス:Varicella-zoster virus)に初感染のあと、疲労や免疫の低下など種々の要因で知覚神経に潜伏していたVZVが再活性化し、頭(三叉神経)、胸や腹(肋間神経)、腰や四肢(坐骨神経)などに激痛を伴う知覚神経支配領域に沿った水疱性病変を形成する病気です。
水疱が治癒したのちも、しばしば、帯状疱疹後神経痛が残ります。
顔面の帯状疱疹は顔面神経麻痺(Bell麻痺)をきたすことがあります。
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[帯状疱疹]
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この度!地下足袋!リンクの旅へどうぞ~
詳しくは花野井薬局健康コラム“なにをいまさら、されど「アレルギー」”を
ご覧ください。
また、花野井薬局プライベートノート“「免疫」のチョコット知識”も
ご覧ください。
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