抗生物質のチョコット知識⑥
細菌の感受性
突然、悪寒、戦慄(ブルブルふるえること)を伴って38~40度の発熱。 咳、痰も多くなり、 いわゆる鉄サビ色の痰や緑色の膿痰、ときには血痰を出し、さらに胸痛を訴えるような場合“細菌性肺炎”を疑います。
細菌性肺炎は一般に「かぜ症候群」に続いて発症することが多く、気管支のみならず、 肺の中までも細菌が入り重篤な症状を引き起こす疾患です。
もちろん、胸部X線所見は特有な肺の陰影像を呈し、 白血球の増多や血沈の促進も見られます。
細菌性肺炎には抗生物質が特効薬であることは言うまでもありません。
しかし、その投与する抗生物質の選択が 医療機関にとっては最大の悩みになります。
********************************************************************
結局! 薬局! 花野井薬局!
細菌の抗生物質に対する感受性=抗生物質の細菌に対する抗菌力
********************************************************************
まず第Ⅰに病原菌が何であるかを検索しなくてはなりません。 それにはまず喀痰(Sputa)を 培地に接種・培養し原因菌を分離します。 その後、グラム染色を施して細菌の形態から同定します。
細菌性肺炎は多くの場合、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) などのグラム陽性球菌が病原菌となります。
第Ⅱにその細菌がどの抗生物質に対して特に強い感受性を示すかを調べることです。
これには次の方法があります。
①ディスク法 | ・・・ | シャーレの培地に試験菌を移植し、その上に各種抗生物質のしみているろ紙(ディスク)をのせて一定時間培養後、阻止円の大きさから抗生物質の抗菌力(最小発育阻止濃度= MIC = Minimal Inhibitory Concentration )を調べる方法。 |
②液体倍数希釈法 | ・・・ | 試験管に抗生物質の適当な濃度から 2 倍希釈系列培地を作り、これに試験菌を移植し、一定時間培養後、その MIC を混濁の有無の境界で判定する方法。 |
その他カップ法(ディスク法に準ずる。)、寒天希釈法(液体倍数希釈法に準ずる。)などがあります。
次に第Ⅲ段階として、その抗生物質が肺組織で抗菌力を示すための投与量を計算します。
また、第Ⅳ段階として病原菌に対する抗生物質の作用(殺菌作用または静菌作用)から、投与方法(経口、筋注、静注、点滴静注、皮下注、腹腔内注入、散布など)を考えます。
最後に第Ⅴ段階では投与時または投与後の人体(動物)に対する影響(副作用など)をシビアに予測します。
つまり、第Ⅰ~第Ⅴ段階までの基礎的なものから総合的に判断して、抗生物質は選択され、臨床に応用されているのです。
-6-