核酸のチョコット知識④
核酸とたんぱく再合成
ところで、せっかくたんぱく質をアミノ酸にまで分解したものを、今度はわざわざたんぱく質に再合成するのには何か訳があるのでしょうか。
その訳が細胞の新陳代謝です。
古い細胞を新しい細胞に入れ替える新陳代謝は生命の維持には必要不可欠なものです。
ここで、A樹さんの腕の皮膚(たんぱく質)が欠損したとします。
そこへB助さんの腕の皮膚(たんぱく質)を移植しようとしても、よほどの条件がそろわないかぎりうまく移植できません。そればかりか、むしろ、拒絶反応(アレルギー反応)を起こす可能性が大です。
これは、二人の皮膚のたんぱく質は似ているようでも、それぞれの皮膚を構成しているアミノ酸の種類や数やアミノ酸の配列順序が同一でないため、異なるたんぱく質からできている皮膚だからです。(アミノ酸配列が1か所違っただけでもたんぱく質は異なります。)
では、A樹さんの腕の皮膚の欠損部をつくるのにはどうすれば…..。
それには、A樹さんが自分の体の他の部分から皮膚を採取して、腕の皮膚の欠損部位に皮膚移植する(植皮)か、
または
A樹さんが肉や魚などのたんぱく質を食べてアミノ酸にまでまず分解し、これらのアミノ酸をA樹さんの体の細胞の中で組み立てて、A樹さんの腕の皮膚に新しくつくり変える(たんぱく合成)か、することです。
これら、たんぱく合成に携わっているのが細胞の中の核酸と呼ばれる物質です。
核酸には細胞の核の染色体(Chromosome:ヒストンたんぱく質+DNA)に含まれるDNA(Deoxyribonucleic acid)と、細胞質や核の仁に含まれるRNA(Ribonucleic acid)とがあります。
[細胞(動物)]
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