抗血液凝固薬
これに対して 、臨床上、採血や血液透析の場合には血液が固まっては困ります。 このようなときに使用される薬剤が血液凝固阻止剤と呼ばれるものです。
血液凝固阻止剤として代表的なものが採血時、輸血時および血沈を調べるときなどに加えるクエン酸塩やシュウ酸塩です。 この血液凝固阻止作用はCa2+除去によるものでトロンビンが活性化されないため血液は固まらなくなります。
このほか、血液透析、人工心肺、外科手術後の血栓防止などの際に使用されるヘパリン製剤(プロトロンビン活性化阻止作用)。
[ヘパリンと血液透析]
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納豆とワーファリンとビタミンK
血栓症の人や血液の抗凝固作用をもつ薬剤を服用している人はビタミンKを多く含む食品やビタミンK剤の使用は制限されます。
抗血液凝固薬のうちクマリン系抗血液凝固薬のワルファリン(商品名:ワ-ファリンなど)は血栓塞栓症の治療及び予防に投与されますが、これは、ビタミンKに拮抗してプロトロンビン生成を阻止する作用により、血液の凝固を防ぐためです。
ワ-ファリン服用中は、ビタミンKを合成する納豆菌のいる納豆を食べたり、ビタミンKを多く含む青汁やクロレラ、わかめ、のり などをたくさん飲んだり食べたりするのは止しましょう。
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なお 、ワ-ファリンの使用量を決める検査にトロンボテスト(TT:thrombo test)があります。
服用しているワ-ファリンの量が適切かどうかを調べる検査です。5%未満ではワ-ファリンの使用量過剰、20%以上であれば使用量不足といえます。ワ-ファリンの作用を十分に発揮させるにはトロンボテストの数値が8~15%になるように使用量が決められています。
現在ではワーファリンコントロール検査にはINR(international normalized ratio国際標準化比≒PT)が主流になっています。INRは施設間差がなく国際的にも使用できる長所があります。
ワーファリン使用量不足
↑
INR 2.0 = TT 17%
INR 3.0 = TT 9%
↓
ワーファリン使用量過剰
INR2.0~3.0の範囲でワーファリンの使用量を決めています。
ここで、抗凝固薬のなかで、納豆や青汁といったビタミンKを含む食物と相互作用がなく、また、定期的に血液検査の必要もない薬剤にプラザキサ(ダビガトラン:Dabigatran)があります。プラザキサは、経口直接トロンビン阻害剤で、血液凝固因子のトロンビンを阻害して抗凝固作用を発揮します。
心原性脳塞栓症(不整脈の心房細動などにより心臓でできた血塊が脳の血管につまること)などに使用されています。
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* 血液は、流れが止まり滞留すると凝固因子の活性化が起こり、固まりやすくなります。
* 血塊は、血管壁が障害を受けると血小板が凝集(白色血栓)するため、形成されます。
* 血栓とは、心房や下肢深部静脈でできた血塊が血液中に遊離し、血流に乗って移動し、離れた組織の血管につまることです。
心房細動時の心房⇒脳塞栓
下肢深部静脈 ⇒肺塞栓(エコノミークラス症候群)
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そうそう、血栓塞栓を防ぐお薬には抗血小板薬(血小板凝集抑制薬:アスピリン、プラビックス、プレタールなど)のアスピリン(商品名:アスピリン、バファリン、バイアスピリンなど)があります。
ワーファリン、アスピリン、バファリン、バイアスピリンは呼び名こそ似ていますが、アスピリンやバファリン、バイアスピリンには納豆や青汁、クロレラとの相互作用はありません。 どうぞ、ご心配なくお召し上がりください。
しかし、アレルギ-体質とくに気管支喘息の既往歴のある方は、アスピリンの服用には医師の指示を仰いでください。重篤な喘息発作を起こすことがありますから。
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