肝臓のチョコット知識②
黄疸
Ⅱ.㋑黄疸
肝疾患には一般にこれといった症状が出ないのが特徴といわれています。そのなかでもとくにあげるとすれば黄疸と呼ばれる症状です。
胆汁(Bile)は肝臓でつくられ、胆のうに貯えられて数倍に濃縮されます。そして、胆汁は脂質を乳化したり、脂質の消化や高級脂酸、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、Kなど)の吸収に重要な役割を担っている「リパーゼ」という酵素を活性化します。
この胆汁には胆汁色素(Bilirubin ←赤血球の破壊)と胆汁酸(Bile acid=Cholic acid + Deoxycholic acid + others ←コレステロールの最終代謝産物)の二つの成分があり、非常ににがい黄色い液体です。つまり、胆汁中の胆汁色素が血液中に増えるために皮膚の粘膜が黄色くなった状態が黄疸です。
黄疸には
(1) | 赤血球が壊れ、血液中に胆汁色素が増えることにより起こる溶血性黄疸 |
(2) | 肝炎、肝硬変など、肝実質細胞がウイルスや薬剤などによる機能障害で起こる肝細胞性黄疸 |
(3) | 胆石や胆管あるいは膵臓のがんなどにより胆汁の十二指腸への通過が妨げられて起こる閉塞性黄疸 |
などがあります。
ここで人参やみかんを食べすぎて皮膚が黄色になる柑色皮症(眼球結膜は白いのが特徴。)は植物色素であるカロテン(Provitamin A =α、β、γ Carotene)が皮膚、とくにその角質に沈着するために起こるもので黄疸とは呼びません。(黄疸は眼球結膜にも現われます。)
また、溶血性黄疸は血液の病気なので皮膚の黄変すべてが肝疾患ではありません。
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