肝臓のチョコット知識③
静脈瘤 肝性昏睡
Ⅱ.㋺静脈瘤 肝性昏睡
肝疾患にはしばしば、だるい、疲れやすい、吐き気、嘔吐、食欲がない、右季肋部痛(右肋骨弓下痛)など一般には胃の具合が悪いときと似たような症状がでます。
このほか発熱、クモ状血管腫(前胸部の鎖骨の下や肩などの赤いクモの巣状の斑点)、手掌紅斑(手のひらのふくらんだ部分が赤くなる)、女性乳房、太鼓バチ指など。さらに肝硬変が進行すると血しょうたんぱく中のアルブミン(肝臓だけでつくられる)が不足し、血しょうの浸透圧が維持できなくなり全身に浮腫が現われたり、胸水(肋膜腔内の液)や腹水(腹腔内の液)が溜まってきます。
また、肝臓に門脈血が入りにくくなるため、門脈圧が高まりほかの種々の静脈に腫瘤(静脈瘤)ができやすくなります。(食道静脈瘤、痔核など)
さらに、肝臓の働きが悪くなると血液中の有毒なアンモニアが無毒の尿素に変えられないため血液中にアンモニアが溜まります。そして、アンモニアの神経毒が脳に作用するため意識障害を引き起こします。これを肝性昏睡といい、生命に関わる大変恐ろしい病気です。
(これに対して、腎機能低下または腎不全のため、尿素を含む老廃物が血液中に蓄積された結果起きる精神神経症状からくる昏睡は尿毒症性昏睡。また、糖尿病の急性合併症で、一時的に高血糖になることから起きる昏睡は糖尿病性昏睡といわれます。)
肝疾患を起こす原因としては、ウイルス、薬物、アルコール、免疫異常や代謝異常などが代表的なものとしてあげられます。その症状は、自覚的には食欲不振、全身倦怠感など、他覚的には肝腫大、黄疸、腹水、浮腫などがあります。肝疾患の終着は肝硬変で、肝がんの合併も少なくありません。
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