肝臓のチョコット知識⑦
胆汁ウッ滞検査
(2)胆汁のウッ滞を調べる検査
胆汁のウッ滞(胆道の流通状態)をみる検査としては、①総血清ビリルビン、②γ-GTP、③アルカリフォスファターゼなどがあります。
①総血清ビリルビン(TB:Total bilirubin)
赤血球は約120日の寿命を終えると肝臓や脾臓で壊され、まず間接ビリルビンになります。ついで、大半の間接ビリルビンは肝臓に取り込まれて、水に溶けるかたちに変えられ、胆汁中や尿中に排泄されます。 これが直接ビリルビンです。
総ビリルビンは直接ビリルビンと間接ビリルビンの合計です。
基準値は、 総ビリルビン 1.3mg/㎗以下
直接ビリルビン(DB) 0.3mg/㎗以下
間接ビリルビン(IB) 1.0mg/㎗以下 です。
閉塞性黄疸はビリルビンを含む胆汁の通り道である総胆管が胆石やがんなどでつまり、胆汁がウッ滞して直接ビリルビンが血液中に入ったものです。これに対し、溶血性黄疸は赤血球が壊れ大量の間接ビリルビンが増えて起こる黄疸です。診断には、直接ビリルビンと間接ビリルビンのどちらが増えているかで判別します。
直接ビリルビン高値 → 閉塞性黄疸、肝がん、胆石など
間接ビリルビン高値 → 溶血性黄疸など
②γ-GTP(γ-glutamyl transpeptidase)
γ-GTPは肝細胞では肝臓と総胆管のつなぎめのあたりに多く含まれています。このため、胆汁の流れが悪くなる閉塞性黄疸などでは高値になります。また、この酵素はアルコールにとくに敏感に反応するので、一般にはアルコールによる肝障害の検査として使われます。
基準値は、γ-GTP 男性 12~65単位
女性 9~27単位 です。
数値が高い場合 → 閉塞性黄疸、アルコール性肝障害など
ほかの肝機能検査では異常が認められず、γ-GTPだけが高い場合はアルコール摂取が原因と考えられます。いつもお酒を飲んでいる人のγ-GTPが高値を示す場合は、今、肝臓は悪くなくとも将来はアルコールによる肝障害を起こす危険が高いといえます。
③アルカリフォスファターゼ(ALP:Alkaline phosphatase)
アルカリフォスファターゼは体のほとんどすべての臓器や組織に含まれる酵素の一種です。この酵素は肝臓から胆汁中に排泄されるので、胆道がつまって胆汁がウッ滞すると胆汁中のアルカリフォスファターゼが逆流して血中に増加します。
基準値は、ALP 96~300 IU/L
(検査施設によって数値が異なります)です。
アルカリフォスファターゼは骨でもつくられるので骨の腫瘍やくる病などでも増加することがあります。したがって、肝障害かどうかはASTとALTを同時に測定して診断します。
高値を示した場合---がんや胆石が原因の総胆管閉塞、
骨腫瘍、くる病、骨軟化症など
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