腎臓のチョコット知識②
老廃物の排泄
Ⅱ.腎臓の働き
腎臓は重要な働きをいろいろしています。
A.老廃物の排泄ばかりでなく、B.水分の調節やC.電解質の調節、D.血圧の調節などを行なっています。
A.老廃物の排泄
腎臓はヒトの体の200分の1ぐらいの小さな器官にもかかわらず、腎動脈が太い血管なので血液の約4分の1は腎動脈に入ります。
そして糸球体では、入る方の血管に比べ、出る方の血管が細いので糸球体に高い血圧がかかります。
そのため、血液中の血球やたんぱく質、脂質以外の成分(※1)はほとんど糸球体からボーマンのうの中にこし出されます(ろ過)。
ボーマンのうにこし出された血しょう成分(原尿)のうち、水やブドウ糖、塩類などは、尿細管を流れる間にこれを取り巻いている毛細血管の中に再び吸収(再吸収)されます。
しかし尿素(尿素は肝臓でつくられます。) はほとんど再吸収されません。
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アミノ酸の分解でできた有毒なアンモニアは、肝臓の尿素サイクルで毒性のほとんどない尿素につくり変えられて、腎臓から排泄されます。
アミノ酸 =R-CH(NH2)COOH
アンモニア=NH3
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結局、血しょう中の尿素(30mg/100mℓ)は尿中では約67倍(2000mg/100mℓ)に濃縮され、尿として輸尿管を通り膀胱へ入ります。
しかし、何らかの原因(大出血、心筋梗塞の発作後、重度の火傷、腎炎、ネフローゼ症候群(※2)、糖尿病性腎症、痛風腎、事故による腎破損など)で腎に障害が起こると、これらの腎の機能が損なわれ、乏尿又は無尿(※3)になることがあります。(腎不全)(※4)
腎不全の初期症状(尿量400~500ml/day)は疲労感や食欲不振、吐気、下痢などで始まります。そして次第に貧血や浮腫、皮膚の乾燥、高血圧、肺水腫などの多彩な症状が現われてきます。 やがて乏尿ないし無尿状態(尿量100ml/day以下)になると全身の倦怠感、嘔気・嘔吐、頭痛、けいれん、もうろう状態ないし昏睡に陥ります。この腎不全の末期になって現われる症状群のことを“尿毒症”といいます。
腎不全への進行予防には病状に応じた活動(仕事、運動)の制限、食事療法(塩分、たんぱく質の制限)、薬物療法(降圧剤の服用など)が基本となります。腎不全でもBUNが100 mg/dℓ以下であれば対症療法だけで通常の生活ができますが、さらにBUNが増えて尿毒症症状がとれない場合には透析療法あるいは腎移植を行なわなければなりません。透析療法には血液透析(HD:Hemodialysis)と腹膜透析(PD:Peritoneal Dialysis)があります。
<血液透析>
腕に針を刺して血液を体外に取り出し、老廃物や過剰な水分を人工腎(ダイアライザー:Dialyzer)で除いて再び血液を体内に戻す方法です。 医療機関に週3回ほど通い、1回3~5時間透析するのが標準的です。 水分と塩分の摂取が制限されます。
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<腹膜透析>
チューブ(カテーテル)を通じ、腹部の臓器のある腹膜に透析液を2ℓほど入れ、1日数回交換する方法です。 人工腎で血液を浄化するのではなく、腹膜の毛細血管から老廃物や水が自然にしみ出すのを待ちます。 交換は自分でできるので通院が月1~2回で済むのも利点です。 食事や水分の制限が比較的緩いというメリットもありますが、長く続けると腹膜が肥厚して腸を巻き込んで詰まらせるようなリスクや、細菌による感染が増します。
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