膠原病のチョコット知識③
主な膠原病
膠原病を病変が起こる場所でみると
などがあります。
そのほかシューグレン症候群や、ベーチェット病、混合性結合組織病なども膠原病に含まれます。
<主な膠原病>
*関節リウマチ(RA)
本来、外敵に立ち向かうはずの免疫が、内乱を起こして関節を保護する滑膜を攻撃するため、滑膜の炎症や骨の破壊を引き起こす病気です。
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近年、関節リウマチの原因として、TNF-α(腫瘍壊死因子 Tumor necrosis factor-α)という物質が関わっていることが同定されています。
① |
免疫担当細胞(T細胞やB細胞、マクロファージなど)間の情報伝達を担う物質サイトカインTNF-αやIL-6,Th-17が関節の軟骨の表面にある滑膜を攻撃する。 |
② |
滑膜の異常増殖を引き起こす。 |
③ |
滑膜が作る破骨細胞が関節の骨や軟骨を破壊する。やがて関節は変形する。 |
TNF-α:サイトカインの一つで腫瘍壊死因子と呼ばれ、腫瘍を攻撃する物質。この物質が関節リウマチの関節では大量に産生され、腫れや痛みなどの炎症と関節の破壊に大きくかかわっている。 IL-6(Interleukin):T細胞やマクロファージなどの細胞により産生される体液性免疫をを制御するサイトカインの一つ。炎症・免疫疾患の発症メカニズムに関与。 |
また、最近、関節リウマチの腫れや痛みは「気圧」と統計学的に負に相関(気圧が低いほど関節リウマチの腫れや痛みの指標が悪化する)し、なかでも、3日前の「気圧」と最もよく相関する、ことがわかりました。
このことから、関節リウマチの患者さんが実感している「天気が悪くなるとリウマチが悪化する」という自覚症状が、統計学的にも事実であることが明らかになりました。 ー 京都大学 ー
英文誌「PLOSONE」の電子版に2014年 1月15日 発表
関節リウマチの症状は、はじめは倦怠感や食欲不振、微熱が続き、身体のあちこちに痛みを感じます。やがて関節に左右対称に関節痛が顕著に現われ、関節が腫れて変形するようになります。胸膜炎や心筋炎、胃腸の潰瘍、角結膜炎などを併発することもあります。
中年女性に多く発症します。
*全身性エリテマトーデス(SLE)
発症時に高熱、そして顔などに紅斑(蝶形紅斑)ができます。レイノー症状や脱毛、光線過敏、むくみなども現われます。関節痛や筋肉痛を伴い、悪化すると腎不全を起こします。
女性に多い病気です。
この病気は、全身の臓器に炎症が起き、皮膚に紅斑が現われる疾患で、免疫細胞のB細胞が自分の身体のDNAを攻撃する自己抗体という特殊な抗体をつくってしまうのが直接の原因です。
*ベーチェット病(BD)
口内の浅い潰瘍(アフタ)と外陰部の潰瘍、目のぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜の総称)炎がベ-チェット病の三大症状です。二十歳前後の男性に多く見られます。ときには中枢神経や末梢神経がおかされ、運動まひや運動失調、脳神経まひなど、さらには人間が変わってしまったように見える人格変化の症状なども現われます。
*シェ-グレン症候群(SjS)
涙腺や唾液腺に炎症が起こり、独特の乾燥症状のでる病気です。目や口や膣が乾き、涙や唾液や膣分泌液が出にくくなり、耳下腺が腫れることもあります。
*強皮症(全身性硬化症 SSc)
皮膚をはじめとする全身の結合組織に硬化性病変をきたす病気です。30~50歳代の中年女性に多く(男女比1:7)小児にはまれな病気です。
血管障害と炎症性・繊維性変化が主な病態で、手指よりはじまる皮膚の硬化病変に加え、肺繊維症などの諸臓器の病変を伴います。
中年女性に多く、病因は不明です。
*多発性筋炎.皮膚筋炎(PM.DM)
多発性筋炎(PM)は骨格筋に生じる自己免疫性の炎症性筋疾患です。骨格筋(とくに近位筋)の筋力低下を特徴とします。
PMの症状に加え、定型的な皮膚症状のあるものは皮膚筋炎(DM)とよばれます。
*全身性血管炎(血管炎症候群)
血管炎は血管の壁が炎症を起こす病態のことで、炎症による全身症状に加えて、進行によって支配臓器に血管内腔の狭窄による虚血や、血管壁の破綻による出血などをきたします。
血管炎を病態として、さまざまな臨床症状を呈する疾患群の総称は、血管炎症候群といわれています。
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