膵臓のチョコット知識②
胃酸とピロリ菌
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胃酸(Gastric acid)は胃液に含まれる強い酸性の液で、化学的にはpH1~2の塩酸(HCl)です。胃酸には2つの大きな働きがあります。
そのひとつは胃内を一定以上の酸性に保ち、食べ物と一緒に取り込まれたいろんな細菌を殺す(殺菌作用)ことです。
もうひとつの胃酸の働きは、胃腺から分泌される不活性のペプシノーゲンをペプシンに活性化することです。活性化されたペプシンはたんぱく質をペプトンに消化します。
また、 膵液に含まれるたんぱく分解酵素前駆体の不活性トリプシノーゲンは、十二指腸粘膜細胞からのエンテロキナーゼの働きによりトリプシンに活性化され、ペプトンをポリペプタイドに消化します。
いま、騒がれている、ヒトなどの胃に棲息する、ベン毛をもち、ヘリコプターのはね(らせん型)のような形をしたピロリ菌(Helicobacter pylori)は、細菌でありながら、なぜ、強酸性の胃酸に耐えられるのでしょうか。(ヘリコ:らせん、バクター:細菌、ピロリ:幽門部)
な~んでか?
それはネ…..
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ピロリ菌はピロリ菌のもつ酵素ウレアーゼ(Urease)によって胃壁にある尿素 CO(NH2)2 を加水分解して二酸化炭素 CO2 とアンモニア NH3に変えてしまいます。このアンモニアで胃酸を中和してピロリ菌のまわりのpHをほぼ中性に保つことにより、ピロリ菌は胃酸の強酸性から身を守り、生き続けることができるのです。
ピロリ菌は胃粘膜を覆っている粘液層内にもぐり込んで粘膜の表面にくっついたり、細胞の間に入り込んで増殖して、胃粘膜にさまざまな障害を与えます。
ピロリ菌の除菌療法を行なうと、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの発症・再発がしにくくなります。除菌療法が効果的であることは間違いないので、試してみる価値は十分にあると思います
最近の話題としても、悪性リンパ種の一つ「胃MALTリンパ腫」の7~8割はピロリ菌の除菌で改善するといわれ、また、血液の難病「特発性血小板減少性紫斑病(ITP)」の治療にもピロリ菌の除菌が有効とされています。
*胃MALTリンパ種
この病気の多くはピロリ菌によって引き起こされます。ピロリ菌に感染すると、炎症を抑えようと集まったリンパ球が胃の粘膜下に集まることにより悪性腫瘍の塊ができる病気です。
*特発性血小板減少性紫斑病
血液1μL中の血小板が10万未満に減り、弱い刺激でもすぐに出血して止まりにくくなる病気です。病原体の侵入を防ぐ免疫の異常で、自己の血小板を破壊してしまうのが原因とも考えられています。
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