薬物乱用のチョコット知識③
BBB 覚せい剤
「血液-脳関門」( B.B.B. )
脳は人間にとって最も重要な器官です。 脳には、外部からの異物や毒物は血液脳関門( B.B.B.:blood brain barrier) によって阻止され、脳内には侵入できないような防衛システムが備わっています。 少なくとも水溶性の性質をもつ物質はこの B.B.B. を通ることができません。 ドーパミンも水溶性物質なので脳外からは B.B.B. を通過できません。
しかし、ドーパミンを還元して脂溶性にすると、この物質は B.B.B. を通過して容易に脳内に入ることができます。 これが覚せい剤です。
また、 A10 神経の活動を間接的に過剰に促す麻薬の一種モルヒネは、 B.B.B. 通過は約 2 %ほどですが、このモルヒネに酢酸 2 分子を結合させたヘロイン(ジアセチルモルヒネ)は約 65 %の通過率を示し、脳内で分解されてモルヒネになります。ヘロインはヒトにとっては最悪の麻薬です。
★ 覚せい剤
A10 神経伝達物質:ドーパミン( DOPA ミン) | |
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人間の脳において、ほかの動物より特別に多量分泌され、脳を覚せいさせ、快感を誘い、創造性を発揮させる最重要な神経伝達物質。 |
ドーパミン | アンフェタミン (脂溶性) |
覚せい剤 (合成) |
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メタンフェタミン (脂溶性) |
覚せい剤 (合成) |
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ノルアドレナリン (水溶性) |
交感神経 (脳) |
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アドレナリン (水溶性) |
交感神経 (副腎髄質) |
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エフェドリン (脂溶性) ↓ エフェドリン塩酸塩 (水溶性) |
気管支拡張剤 (麻黄) |
.合成麻薬
.メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)
.メチレンジオキシアンフェタミン(MDA)
.メチレンジオキシエタンフェタミン(MDEA)
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覚せい剤(ドーパミンと構造が似ている)はシナプスのなかに入り込んで、ドーパミンの代わりに働いたり、余分なドーパミンを分解する酵素を阻害したりします。その結果、覚せい剤がドーパミン受容体に結合するとドーパミンの放出は促進します。また、覚せい剤がドーパミンの再取り込みを妨害するとドーパミンの量はさらに増加します。このため、強い興奮や快感を得ることになります。
覚せい剤は注射や内服、吸入などによって直ちに脳に入り、直接、覚せい作用や多幸感、快感作用を示します(アッパー系=昂揚性)。
しかも、化学合成品なので分解されにくいことから、依存性(強い精神的依存性、身体的依存性はないか弱い)がつきやすく、覚せい剤摂取を中止すると、極度の疲労感や倦怠感、抑うつなどがあらわれ、その苦痛はこらえ難いといわれます(離脱症状)。そのため、
この状態から逃避し、爽快感や多幸感をまた味わいたいという強い欲求が生じ、悪いとはわかっていてもまた薬物を求めるようになる、といいます。そして、
覚せい剤を反復して使用すると、耐性も生じ、使用量が増加していき、中毒症状を起こします。
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また、フラッシュバックと同じように、以前の被害的精神症状をメラメラと再燃させる「燃え上がり現象」といわれる後遺症も忘れてはいけません。
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