薬物乱用のチョコット知識④
麻薬
★ 麻薬
麻薬は、ギャバ神経の麻薬レセプターに結合して、ドーパミンの放出にブレーキをかけているギャバ神経を抑制する(アヘンやヘロイン、モルヒネ、コデインなど)ことにより、間接的に A10 神経の過剰活動(過剰ドーパミン放出)を促す物質です。
*脳内麻薬(エンドルフィンやエンケファリンなど)
☆脳の視床下部の神経細胞でつくられるエンドルフィンは脳内神経伝達物質の一種で、内因性鎮痛系に関わり、気分の高揚・多幸感をもたらします。
なかでも、βエンドルフィンの鎮痛作用はモルヒネの約6.5倍に及ぶといわれ、苦痛を取り除くときに最も多く分泌されます。
たとえば、βエンドルフィンは、マラソンなどで苦しい状態が一定時間以上続くと、脳内でそのストレスを軽減するためにβ-エンドルフィンが分泌され、やがて快感や陶酔感を覚える「ランナーズ・ハイ」と呼ばれる現象はよく知られています。
また、β-エンドルフィンは性行為の際やおいしいものを食べたときなどにも分泌されることが分かっています。
*麻薬(モルヒネ、ヘロイン、アヘン、コデインなど)
☆モルヒネの特徴は、モルヒネが痛覚神経の麻薬レセプターに結合すると、どのような痛みでも瞬時に遮断するとともに、間接的に A10 神経が過剰に活動することになります。そのため一般感覚は麻痺し、不快感消失、注意力、判断力も低下します。そして、ひと呼吸おいて、静かな、身に染みる、心地よい陶酔感を生じます。
また、 覚せい剤は脳だけに作用するので精神的依存のみ生じますが、モルヒネは麻薬レセプターが脳内に広く分布しているばかりでなく、全身の神経系とくに消化器系に多いことから、モルヒネの依存には脳による精神的依存と、全身による身体的依存とがあります。
そしてモルヒネが切れたとき、身体的依存の結果、全身で悶え苦しむ恐ろしい離脱症状が現われます。
☆ヘロインはモルヒネと無水酢酸とから合成したジアセチルモルヒネです。
脳には血液脳関門(B・B・B:blood brain barrier)があり、毒物が脳内に入らないよう厳しく防御されていますが、モルヒネのB・B・Bの透過率が2%にもかかわらず、ヘロインは65%が脳内に入ります。
脳内に入ったヘロインはそこで分解されてモルヒネとなり、麻薬の効果を存分に発揮します。
そのため、ヘロインの鎮痛作用はモルヒネの3倍程度ですが、依存性が猛烈に強くなるため、製造、販売、所持、使用すべてが厳禁されています。
☆ 生アヘンはケシの花(Papaver somniferum)が散った後のケシ坊主(未熟果穀)に傷をいれ、滲み出た乳汁を竹べらでかき集め乾燥させた褐色の塊です。
アヘン中には 20 種以上のアルカロイドが含まれていて、アヘンを喫煙すると深い陶酔と強い快感をもたらします。
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