食物の消化・吸収のチョコット知識③
Ⅳ.十二指腸(duodenum)
胃の中でドロドロにかゆ状となった食物は少しずつ十二指腸に送り込まれます。十二指腸には膵臓でつくられた種々の消化酵素と肝臓でつくられ胆のうで濃縮された黄褐色の胆汁が入ってきます。
胆のうは濃緑色、長さ7~8cm、幅約4cmのナス形の袋で、肝臓の下面についています。肝臓で1日につくられる胆汁の量は、おとなで500~1000mℓにもおよび四六時中絶え間なく胆のうに流入しています。そして、胆のうに貯えられている間に水分が吸収され、さらに粘液も加えられて、だんだん濃くなります。
食物が十二指腸に達すると濃縮胆汁が分泌され、脂質を乳化(emulsion:牛乳やバターのように、水のなかに油、または、油のなかに水が溶けている状態)するのに役立ちます。
大便の色はこの胆汁の色素に由来します。
これらによって糖質やたんぱく質は酵素によりさらに消化され、また、脂質も胆汁で乳化されたあとに酵素によって消化されます。
なかでも、たんぱく質消化酵素のトリプシンは、十二指腸粘膜細胞が分泌するエンテロキナーゼにより、膵液内の不活性のトリプシノーゲンから活性化され、ペプトンをポリペプタイドに消化します。
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[ 膵液中の消化酵素 ]
Ⅴ.小腸(small intestine…空腸・回腸)
十二指腸から送りだされた食物は腸液中の酵素と混じり合い消化されます。
腸の運動には蠕動運動と分節(内容物を混ぜ合わせる)運動があります。そして、アトロピン系(副交感神経抑制)の薬で腸の運動は抑えされ、アセチルコリンの類(副交感神経興奮)の薬で腸の運動は促進します。
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[ 腸液中の消化酵素 ]
そして、糖質は単糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース)に、たんぱく質はアミノ酸に、脂質も脂肪酸とモノグリセライドとグリセロールに分解されます。
[ 三大栄養素の消化 ]
[消化酵素の作用]
単糖類とアミノ酸は小腸壁にあるじゅう毛の栄養吸収細胞(吸収上皮細胞)から吸収され、毛細血管から肝門脈を経由して肝臓に入り、肝静脈を通って全身に運ばれます。
脂肪酸とモノグリセライドとグリセロールは、小腸壁のじゅう毛の栄養吸収細胞から吸収されたあと再び脂質に合成され、毛細リンパ管から胸管を経て鎖骨下静脈に入り、全身に運ばれます。
[ 栄養分の吸収 ]
Ⅵ.大腸(large intestine…虫垂・盲腸・結腸・直腸)
小腸で食物繊維などの消化されなかったものは大腸に運ばれ、細菌によって分解されます。(インドールやスカトールなどの生成)
また、水分の大半が吸収され、残ったものが糞便となり、肛門(anus)から排泄されます。
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