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なにをいまさら、されど 『アレルギー』(6)  体液性免疫、細胞性免疫

なにをいまさら、されど 『アレルギー』(6)
体液性免疫、細胞性免疫

  ここで重要なことを2点あげておきます。

1点目は侵入してくるあらゆる抗原(無限の物質)に対して生体は、それにおのおの「専門」に対応できるB細胞をあらかじめ用意することができ(スプライシング:抗体グロブリン分子の多様性)特定の侵入抗原に対応する特定の抗体を速やかにつくるということ。

 この抗体遺伝子のスプライシングによる多様性を発見した利根川進博士は“ノーベル生理学医学賞”を受賞しました。
スプライシング:DNAから転写されたmRNAが不要な部分を除外して遺伝子再構成を起こすこと。
これにより、特定の抗原に対応する数十万種類ともいわれる抗体をつくることができます。

2点目は、生体は一度侵入した異物(抗原)「記憶」(メモリーB細胞)していて、同じ異物が再び侵入したとき、その異物に対応するメモリーB細胞は一度目よりすばやく大量の抗体をつくり、正確かつ迅速にその異物を撃退するということ。

  実はこの抗体が、「体液性免疫」と呼ばれるものなのです。

これに対して、直接異物に作用する免疫反応は「細胞性免疫」といいます。

  生体内に侵入する外敵にはさまざまな種類があります。  万一、これらの外敵が防衛システムを突破して生体内に侵入した場合には、攻撃システムの免疫担当細胞(細胞性免疫)と抗体(体液性免疫)との見事な連携プレーによって発症を未然に防ぎます。
もちろん、侵入外敵が勝てば生体は発病するし、免疫抵抗力が優れば予防にもなり治癒もします。

免疫反応

 

 この免疫(抵抗力)のメカニズムを応用したのが”ワクチン”です。 

 従来のワクチンはウイルス本体を培養し、毒性をなくしたり、毒性を弱めたりした抗原たんぱく質を直接接種することにより免疫をつくり、新しく侵入するウイルスを攻撃・中和するものです。

 これに対して

 mRNAワクチンは、新型コロナウイルスの一部のみ(スパイク状たんぱく質)をつくる核酸mRNAを投与すると、細胞質内で抗原たんぱく質に翻訳されて、侵入する新型コロナウイルスを攻撃破壊する免疫が誘導されたものです。

 そして、mRNAワクチンは体液性免疫(抗体)ばかりでなく、細胞性免疫(キラーT細胞など)をも高めると考えられています。

 

 

[生体内]

mRNA(注射)

新型コロナウイルスのスパイク状たんぱく質をつくる
(抗原となる)

新型コロナウイルスワクチンができる
(抗体産生)

同じ新型コロナウイルス侵入

攻撃破壊

 

[mRNAワクチンの特徴]

①.病原体を体内に入れるわけではないため安全性が高い。

②.抗体以外の免疫の働きも活性化する。

③.開発・製造のために病原体を増やす必要がないので、短期間で開発できるメリットがある。

④.感染症だけでなく、がんや脳梗塞などさまざまな病気の治療に応用できる。

 

 

 

 

 

 

  免疫(ワクチン)の具体例を少しあげておきましょう。

まず、インフルエンザ菌b型ワクチン(Hibワクチン=不活化ワクチン)やジフテリア菌、百日咳菌、破傷風菌に対するワクチン(いずれも不活化ワクチン)、結核菌に対するBCG予防接種(生ワクチン=弱毒生菌ワクチン)や小児麻痺に対するポリオ生ワクチンなど。 これらは外敵の侵入に備えて前もって抗体をつくっておくものです。
マムシやハブに咬まれた時の抗毒素血清療法。(ウマ血清蛋白に対する血清病がしばしば現われます。)
また、一度罹患すれば終生免疫を獲得するといわれている麻疹(はしか=生ワクチン)や風疹(三日はしか=生ワクチン)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ=生ワクチン)など。 (この“二度なし現象”の説は現在否定されつつあります。)
輸血や臓器移植時の拒絶反応(角膜や精液、胎児には拒絶反応なし。輸血や骨髄移植も条件が適合すれば一部可ー免疫寛容)
さらに、自己抗原(自分の体細胞や組織)に対しては抗体や感作Tリンパ球が産生されないのが原則ですが、これが時として破られることがあります。 代表的なものが全身性エリテマトーデス(SLE)や慢性関節リウマチ、橋本病(甲状腺機能障害)、重症筋無力症などの自己免疫疾患 。
そして、現在盛んなバイオテクノロジー(Biotechnology)によるエイズ(AIDS)や癌(Carcinoma)への対策などなど。

 

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