なにをいまさら、されど 『アレルギー』(7)
アレルギー発症メカニズム
それでは本題のアレルギーに戻りましょう。
アレルギー発症メカニズムの概略をお話します。
マスト細胞…アレルギー反応発現に関与する物質
▬…IgE受容体
ヒスタミン、セロトニン、ブラジキニン、SRS、ロイコトリエンなど
…アレルギー症状の発現に関与する物質
① | まず、体の中にアレルギーの原因となる特定の物質(抗原=Allergen)が侵入してくると体質などによってIgEをつくりやすい人間さまがおります。 (アレルギー体質) |
② | つくられたIgEは肥満細胞と結合して体の中に残ります。(感作状態) |
③ | 再び同じ抗原が入ってくると、IgE-肥満細胞結合体はさらにこの抗原と結合します。 その結果反応が起こります。 |
④ | これがシグナルとなって肥満細胞から大型顆粒が放出され、その中に含まれるヒスタミンなどの起炎物質がまわりの神経や血管、筋肉などに刺激・損傷を与えます。すると、数分から数十分後にはさまざまな症状が現われてきます。 |
⑤そこが
鼻の中ならクシャミや鼻水(アレルギー性鼻炎)、
眼の中なら眼のかゆみ、結膜充血、なみだ目(アレルギー性結膜炎)、
気管支ならばせき(気管支喘息)、
腸の中なら下痢(食事性アレルギー性胃腸炎)、
頭の中の血管が広がれば頭痛(片頭痛)、
皮膚ならばじん麻疹(急性じん麻疹)や
湿疹(アトピー性皮膚炎)
といった具合です。
これが
Ⅰ型アレルギーといわれるもので、IgEとマスト細胞が関与する即時型(アレルギー反応出現20分ぐらい)アレルギーです。
代表的疾患
a)気管支喘息 b)アレルギー性鼻炎 c)じん麻疹
d)アトピ-性皮膚炎 e)偏頭痛 f)アレルギー性結膜炎 など。
また、
Ⅱ型アレルギーは、何らかの原因で自分の組織や細胞表面が抗原として認識されてしまい、自分の組織や細胞表面に対する抗体(IgM,IgG)が産生され、それによって自分の組織や細胞表面が攻撃される即時型の補体介在性過敏症です。
代表的疾患
a)自己免疫性溶血性貧血 b)グッドバスチャー症候群
. c)重症筋無力症 d)橋本病 など。
Ⅲ型アレルギーは、血中に溶けている抗原、抗体(IgGまたはIgM)、補体などが互いに結合して形成する免疫複合体(抗原抗体複合体)が血管や近傍の組織細胞を傷害する即時型の免疫複合体介在性過敏症です。
代表的疾患
a)関節リウマチ b)SLE(全身性エリトマトーデス)
. c)糸球体腎炎 d)過敏性肺炎 など。
.
Ⅳ型アレルギーは抗体が関与する体液性免疫ではなく、感作ヘルパーT細胞(Th1)に活性化されたキラーT細胞やマクロファージなどが周囲の自己組織を傷害してしまう細胞性免疫による遅延型アレルギーです。
代表疾患
a)接触性皮膚炎 b)Ⅰ型糖尿病 c)多発性硬化症
. d)(ツベルクリン反応) e)移植片拒絶反応 f)シェーグレン症候群など。
多発性硬化症(Multiple Sclerosis; MS)は、視力障害、感覚障害、運動麻痺などさまざまな神経症状の再発と寛解を繰り返す、厚生労働省が指定する難病のひとつです。
Ⅴ型アレルギーは、自己細胞表面レセプターに対する抗体が産生され、そのレセプターと抗体が結合して自己細胞に異常な反応を起こさせてしまう即時型の補体介在性過敏症です。
a)バセドウ病(グレーブス病) など。
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