なにをいまさら、されど「心臓病」(1)
プロローグ
拝啓 人間さま
私は 1日24時間、1年365日、月月火水木金金、昼も夜もなく、晴れた日も、雨の日も、風の日も、雪の日も、はたまた灼熱の日も。
さらには地震、雷、火事、親父、雹に竜巻、台風、洪水、津波や放射性物質もなんのその。
有給休暇も代休も産休も育児休暇すら認めてもらえず、無遅刻・無欠勤は当たり前。
そのうえ、どんなに齢を重ねても、365連休や毎日サンデーなどは言語道断(もっての外)。
ましてやいっときの休憩時間すら許されず、うたた寝などはとんでもない。
食事は流動食のみ。
そればかりか、
自身の筋肉に電流のムチを入れながら、
それでも人間さまが元気に丈夫に明るく生きていくために、
人間さまの指図や命令はないけれど、
人間さまのためにひたすらひたすら働き続けている人間さまに従順な心臓です。
私心臓は、これから、私心臓の働きや仕組み、さらには私心臓に関わっている病気などについてお話いたします。
それにより、人間さまが少しでも私心臓に関心をもち、私心臓をご理解いただき、人間さまが私心臓とは切っても切れない人生の良きパートナーと思っていただけるなら、私心臓は一生涯責任を持ち、人間さまに体を張って尽くす覚悟でございます。
さて、私心臓は血管の壁に筋肉(横紋筋)が発達し、自動的に収縮するようになった器官です。
私心臓の大きさは子供で大人の手の握りこぶしくらい、大人ではその約2倍あります。また、重さは成人で200~300gで光沢のある赤茶色をしています。
私心臓は体液循環の中心、つまり全身から体液を吸い上げそしてそれを全身に送る、いわばポンプのような役目をしています。
① |
栄養分の運搬 |
② |
O2、CO2、老廃物、ホルモン、熱などの運搬 |
③ |
体の防護 |
④ |
個体の内部環境の恒常性 |
[体液の働き]
体液には血液とリンパ液があります。
血液は血管の中を流れている体液であり、リンパ液は毛細血管の壁から浸み出た血しょうが組織の間を通って(組織液)リンパ管へと入り血管に戻る体液です。
体液を体内で循環させる系路は循環系と呼ばれています。
循環系には血管系とリンパ系があります。
循環系 | ![]() |
血管系(心臓、血管—血液) |
リンパ系(リンパ管、リンパ腺—リンパ液:血しょう) |
-1-