なにをいまさら、されど『心臓病』(11)不整脈
1 異所刺激生成
不整脈発生メカニズムは、主として 1.異所刺激生成、2.興奮旋回(リエントリー)3.刺激伝導系障害とされています。
1.異所刺激生成
私心臓全体を興奮させるもととなる刺激は刺激伝道系の「洞結節」から発生しました。
ところが何らかの理由で正常なペースメーカーともいうべき洞結節以外の場所から異常な刺激が起こり、これが私心臓全体に伝わり異常なリズムをつくることがあります。
これを異所(洞結節以外の場所)刺激生成といい、異所刺激の起こったところを異所中枢と呼びます。
異所中枢からの異所刺激は洞結節から生じた正常洞調律を乱します。
この代表的なものが期外収縮(基本的な洞調律による一定の周期外に出る私心臓の収縮)といい、異所中枢が心房にあるものを心房性期外収縮、心室にあるものを心室性期外収縮と呼びます。
期外収縮は一般に正常な心拍の間隔より短く起こる、すなわち早期収縮のことです。
期外収縮発生の原因としては、
① |
心臓の一部に心筋障害(心筋梗塞など)がある場合。 |
② |
動脈硬化などにより洞結節の力が衰退し、異所中枢の力が相対的に強くなる場合。 |
③ |
自律神経(交感神経と副交感神経)の調節異常により、一時的に洞結節の機能に狂いが生じた場合。 |
などが考えられます。
いずれにせよ、私心臓にはまだ血液が充満していないときに異所中枢からの収縮の指令がでると、私心臓は空回りの状態で収縮します。
つまり、私心臓は拍動しているにもかかわらず、押し出される血液量が少なく脈拍としては触れません。これを“脈が飛ぶ”とか“脈の打ち切れがある”と表現します。
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