なにをいまさら、されど『心臓病』不整脈
2.興奮旋回(リエントリー)3.刺激伝導系障害
2.興奮旋回(リエントリー)
洞結節で起こった刺激は心房から心室に伝わりますが、刺激伝導系の一部に異常があると、心室に向かった興奮が突然逆方向に向かって心房に入り込み、さらにこれが再び心室に入るという旋回路が形成され、興奮がグルグル回りだすことがあります。
その多くは頻拍となりますが、その代表的なものに心房頻拍や心房細動、心室頻拍、心室細動などがあります。
これらは1分間に200以上という異常な速さで心房や心室が収縮します。
突然1分間の心拍が200を超えるような場合、急に血圧が下がって、めまいや失神を起こします。心房でこれが起こると心房頻拍となり、心室で起これば心室頻拍となります。
さらに心拍数が増加すると、もはや、私心臓は表面がさざ波のように細かく動くだけで統一的な全体の収縮はなく、停止したも同然になります。
これが心房で起これば心房細動、心室に起これば心室細動となります。とくに心室細動は「死のメカニズム」と呼ばれ、心機能の停止を意味するとのことです。
3.刺激伝導系障害
洞結節に起こった刺激が刺激伝導系のどこかに障害があるため、興奮が先に伝わりにくくなったり、完全に途絶えたりするのが刺激伝導系障害です。
洞結節と心房の間の連絡の途絶えたものを洞房ブロックといい、心房と心室の間の伝導が途絶えたものを房室ブロックといいます。また、左右の脚の伝導が途絶えることがありますが、これを脚ブロックといいます。これらは1分間に50以下という徐拍が現われます。
心拍の数が非常に少なく、1分間に30とか20とかになると全身が血液不足になります。
とくに脳への血流が減ると失神したり、全身痙攣が起こります。よく、てんかんや一過性の脳虚血と間違われることがありますが、脈を触れてみると区別できます。
このように不整脈が原因で脳への血液が不足して起こる発作をアダムス・ストークス症候群といい、急死する場合があります。(心臓が5秒停止すると、脳のO2が不足して目の前が暗くなり、5~10秒では気を失い、15秒過ぎると全身痙攣を起こします。3分以上停止すると脳細胞が死ぬといわれます。)
不整脈の中には、健康な人でも起こるような心配のないもの(心房性期外収縮など)と、急死につながる危険性のあるもの(心室細動など)があります。とくに成人病の考えられる年齢にさしかかった人は、一度心電図検査を受けておく必要があります。
[不整脈の治療]
1.ペースメーカーを使った治療法
一定間隔で電気的な興奮を発するように、心室にペースメーカーと呼ばれる電極を埋め込む治療法です。
心室頻拍、心室細動、洞房ブロックや房室ブロックなどの徐脈 などに
2.不整脈の治療薬
不整脈の発作(頻脈症状)や心臓病のある場合に見られる期外収縮などを抑え、
予防します。
Ⅰa群
アミサリン、キニジン、リスモダン、シベノールなど
Ⅰb群
リドカイン、メキシチール、プロノンなど
Ⅰc群
タンボコール、サンリズムなど
Ⅱ群
テノーミン、アーチスト、インデラルなど
Ⅲ群
アンカロンなど
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