なにをいまさら、されど『心臓病』(8)
狭心症
Ⅰ.冠動脈硬化や冠攣縮(冠動脈の痙攣)などから起こる心臓の病気
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)
冠動脈硬化や冠攣縮などにより、私心臓を動かす心筋の冠動脈血流が乏しくなって(心筋虚血=心筋のO2や栄養不足の状態)起こる心臓のさまざまな障害を虚血性心疾患といいました。
虚血性心疾患 ①一次性心停止 ②狭心症 労作狭心症、安静狭心症、異型狭心症、 ③心筋梗塞 ④虚血性心疾患による心不全 ⑤不整脈 |
<狭心症>
冠動脈硬化や冠攣縮のために心筋への血液供給が不足して、人間さまが長時間正座した時に起こる足の“強い痺れ(刺すような痛み)”と同様に、私心臓に“強い痺れ(胸痛発作)”が起きたのが狭心症です。
つまり、私心臓がふだんよりもよけいに働いた時やストレスなどの精神的疲労が加わったとき、心筋のO2や栄養分の消費量と供給量のバランスが崩れて起こる発作で、胸のほぼ中央部の前胸部に痛みを感じます。
必ずしも痛みばかりではなく、「胸が圧迫される」「胸が締めつけられる」「胸が焼ける」などと表現されることが多いとのことです。
じっと静かにしていれば3~5分で治まるのが普通ですが、亜硝酸製剤(ニトログリセリン[ C3H5(ONO2)3 ]など)を舌下に使うと、この苦痛はたちどころに緩和します。
①労作狭心症 |
・・・ |
日常ある決まった動作や運動のあとに起こる狭心症で冠動脈硬化が関係。 |
②安静狭心症 |
・・・ |
睡眠中や安静時に突然発作が起こる狭心症。 |
③異型狭心症 |
・・・ |
夜間から明け方の決まった時間に起こる狭心症で冠攣縮が関係。 |
[狭心症]
これらとは別に症状の安定しない狭心症を「不安定狭心症」と呼んでいます。
例えば1日に何回も発作が起こったり、持続時間が長かったり、薬剤でのコントロールがしにくかったり、安静狭心症が重なって起こったりする狭心症。
この不安定狭心症は心筋梗塞へ移行する可能性が高い危険な狭心症です。
いずれにせよ、狭心症発作を起こした人の3人に1人は3年以内に心筋梗塞に進むか、またうっ血性心不全を起こす人が多いといわれます。
[狭心症の治療]
狭心症の治療には、内科的治療と外科的治療があります。
内科的治療には薬剤療法、食事療法、運動療法があり、これらを病状に応じて適宜、組み合わせています。
その中でも薬剤療法には、心筋のO2消費量を減少させる薬剤(β遮断薬やCa拮抗薬など)と心筋へのO2の供給量を増やす薬剤(亜硝酸薬やCa拮抗薬など)があり、両薬剤を単独あるいは併用して使用します。
さらに血栓防止の目的から血液凝固阻止剤(クマリン系抗血液凝固薬や血小板凝集抑制薬)を併用することも少なくありません。
外科的治療としては冠動脈バイパス手術があります。
また、外科的治療と内科的治療の中間的な療法としてPCI(経皮的冠動脈介入術:冠動脈インターベンション治療)があります。そのなかに、カテーテルにつけたバルーン(風船)で冠動脈を拡げるバルーンカテーテル治療やステント(ステンレスなどの金属でできた小さい網目模様の筒)を使用して冠動脈を拡張強固するステント治療などの方法があります。
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β遮断薬:交感神経のβ受容体の作用を抑制して、心臓の活動を抑え、心拍を整えます。
テノーミン、アーチスト、インデラル、ノルバスク、コニール、メインテートなど
Ca拮抗薬:心臓の収縮を緩め、冠動脈を拡張します。
ヘルベッサー、ワソラン、アダラート、ニフェラートなど
亜硝酸薬:冠動脈を拡張して血液の流れを良くし、急性発作を鎮めます。
ニトロペン、フランドル、ニトロール、アイトロールなど
*抗凝血薬:血液中の凝固因子のいずれかをブロックすることで血液が固まるのを防ぎます。
イグザレルト、プラザキサなど
クマリン系抗凝血薬:ビタミンKと拮抗することによりプロトロンビン生成を抑制し、血液が固まるのを防ぎます。
ワーファリンなど
*抗血小板薬:血液凝固作用のある血小板の粘着力を弱め、血栓ができるのを防ぎます。
バイアスピリン、バファリン、パナルジン、プレタール、ペルサンチン、プラビックスなど
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