なにをいまさら、されど『心臓病』 (9)
心筋梗塞
<心筋梗塞>
冠動脈硬化や冠攣縮により冠動脈の内腔が狭くなり冠動脈を流れる血液の量が減少した結果、冠動脈支配領域の心筋に血液が十分に行きわたらなくなってO2供給不足から胸痛発作を起こしたのが狭心症でした。
さらに、冠動脈の内腔が狭くなっている部分に血液の塊がつまる(血栓)など、何らかの原因によって冠動脈血流が遮断されるとその流域の私心臓の筋肉は壊死に陥ります。
これが心筋梗塞です。
私心臓の場合、約6時間血流が遮断されると、その流域の心筋細胞は壊死を起こし、その後、壊死した細胞は再生しません。
心筋梗塞の発作は急激に襲ってきますが、自覚症状にまずあげられるのが狭心症と同様に胸痛です。
心筋梗塞の胸痛も胸の正面の胸骨部に起こり、典型的な胸痛になると“死の恐怖を伴う胸部の疼痛、苦悶感”として表現されます。
心筋梗塞の前兆としては、
①胸の真中あたりが痛む。 ②胸に圧迫感があって息苦しく絞めつけられるような感じがする。 ③左の肩や肘、手の小指がしびれるように痛む。 ④のどやあごが絞めつけられるように痛む。 ⑤奥歯がしみるように痛む。 ⑥不安定狭心症(心筋梗塞へ移行する可能性の高い危険な狭心症)。 |
などがあります。
また、心筋梗塞と狭心症の相違点は、
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などがあげられます。
胸痛の症状のでる病気の中でも心筋梗塞ほど生死の決着の早くつくものはありません。
なにはさておき早期診断、早期治療がとくに重要とのことです。
急性心筋梗塞が起こってから、もし、6時間以内に完全につまった血管を再灌流療法(PTCR:血栓溶解療法やPTCA:経皮経管的冠動脈形成術など)で再開通できるならば梗塞範囲は最小限にとどまり、心不全などの重篤な合併症の発現も少なくなるといわれています。
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[心筋梗塞の治療]
1.再灌流療法
①血栓溶解療法(PTCR)
冠動脈につまった血栓を薬で溶かし(ウロキナーゼなど)、壊死寸前の心筋に再び血液を送り、蘇生させる治療法。血栓溶解剤を直接冠動脈内に注入する方法(ICT)と経静脈法(IVT)とがあります。
②経皮的冠動脈介入術(PCI)
風船つきのカテーテルによって狭窄部を押し広げる方法で直接法(direct PCI)と継続法(sequential PCI)とがあります。
2.大動脈バルーンパンピング療法(心臓性ショック状態からの救命)
心筋壊死によりポンプ作用を失った心臓の働きを補助するため、胸部大動脈で風船を膨らませたり縮めたりする方法です。これにより冠動脈に血液が流れやすくなるので心筋へのO2供給がスムーズになり、失われていたポンプ作用が改善します。
3.薬剤療法
*ショックや血圧降下に対する昇圧剤
塩酸ドーパミン、塩酸ドブタミン、ノルアドレナリンなど
*心不全に対する強心剤
ジギタリス製剤、ユビデカレノン、デノパミンなど
*不整脈に対する抗不整脈剤
硫酸キニジン製剤、塩酸プロカインアミド製剤、リドカイン、ジソピラミド製剤など
心筋梗塞はショック、心不全、不整脈などの合併症がいつ現われるか予測判断は困難で、現われれば致命的となることは少なくありません。このため、早期診断、早期治療にはCCU(Coronary Care Unit:冠動脈疾患集中治療室)での厳重な監視体制が必要とされます。
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結局! 薬局! 花野井薬局!
冠危険因子(心筋梗塞を起こす可能性の高いリスクファクター)
①家族性(遺伝性):動脈硬化の起きやすい体質
②糖尿病:冠動脈硬化促進
③脂質異常:動脈硬化促進
④肥満:心臓肥大、動脈硬化促進
⑤喫煙:ニコチンやCOは冠動脈硬化を促進するとともに血液凝固作用により
血栓をつくる
⑥高血圧:冠動脈硬化促進
⑦痛風:冠動脈硬化促進
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