なにをいまさら、されど『心臓病』(16)
心房中隔欠損症 心室中隔欠損症
Ⅲ.先天性の心臓の病気
心房中隔欠損症、心室中隔欠損症
先天性の心臓病は胎芽期(受精後第8週までは「胎芽」、第9週以降は「胎児」と呼びます。)に私心臓が発生する過程で異常が現われます。
私心臓ははじめは心臓管といった簡単なものが頭の方から動脈球(後に幹となる)、心球(後に右心室になる)、心室(後に左心室になる)、心房の4つの部分にわかれ(分節)、それぞれの間に仕切り(中隔)やくびれができてつくられます。
妊娠3か月以内は、私心臓の発生過程ではちょうど心臓管の分節から私心臓が形成される時期で、この胎芽期の私心臓の発育の段階で私心臓の発育が不十分であったり、私心臓の発育が停止したりすると先天性の心臓病として現われます。
なお、先天性の心臓病は遺伝によるものは少ないとされていますが、いまなお、先天性の心臓病の発生原因ははっきりとわかっていません。
ただ、
* | 妊娠3か月以内に母親が風疹にかかると、6人に1人の割合で先天性の心臓病の子供が生まれる。 |
* | 高齢出産に多く、染色体異常によるダウン症候群ではその約3分の1に先天性の心臓病の子供が生まれる可能性がある。 |
* | 妊娠3か月以内に母親が放射線の照射を受けたり、服用した薬の種類によっては先天性の心臓病の子供が生まれることもある。 |
* | 母親がアルコール多飲者では、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、動脈管(ボタロー管)開存症の子供の生まれる確率が高い。 |
などは知られています。
先天性の心臓病の中には両親の妊娠初期の注意によって発生を予防できるものもありますが、先天性の心臓病の発生頻度はそれほど多いものではなく、たとえ生まれてきた子供が先天性の心臓病でも手術によって完治し、その後の成長には何の支障もない場合が多く、いたずらに先天性の心臓病を恐れる必要はないとのことです。
日本では新生児1000人当たり7人の割合で先天性の心臓病の子供が生まれると考えられています。
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