なにをいまさら、されど「痛風」(2)
痛風、高尿酸血症発症メカニズム
さて、私核酸は細胞の核の染色体(ヒストンたんぱく質+DNA)に含まれるDNA(Deoxyribonucleic acid)と細胞質や核の仁に含まれるRNA(Ribonucleic acid)とから構成されています。
DNAは染色体を構築し、遺伝情報を伝えたり、たんぱく合成の際にはアミノ酸の配列順序(たんぱく質の構造)を規定します。
一方のRNAは、細胞質や核の中にあり、染色体上のDNAの情報を写し取ったり(m-RNA)、アミノ酸を運搬したり(t-RNA)、たんぱく合成の工場(r-RNA)になったりします。
① |
DNAの一部(遺伝子部分)の結合がはずれ、二重らせんがほどける。 |
② |
一方のDNA鎖にRNAのリボヌクレオチドが相補的に結合し、 |
③ |
m-RNAが核膜孔を抜けて細胞質に移動し、r-RNAに付着する。 |
④ |
細胞質中のt-RNAがそれぞれ特定の活性アミノ酸と結合し、r-RNAへと移動する。 |
⑤ |
r-RNAがm-RNA上を動くとき、m-RNAの情報(暗号:コドン)に対応した活性アミノ酸をもつそれぞれのt-RNAが、m-RNAの端から順にそれぞれの活性アミノ酸を連結させる。 (翻訳) |
⑥ |
r-RNAの中の連結した活性アミノ酸は停止の命令がでるまで結合し続ける。できあがったポリペプチド鎖がr-RNAから離れ、たんぱく質ができる。 |
[たんぱく合成の解説]
人間さまの痛風の痛みのもとになる尿酸は、アミノ酸代謝の一部を成し、私核酸やATP(Adenosine Triphosphate= 細胞内で必要なエネルギーの主要な供給源)などの構成成分であるプリン塩基(purine base:アデニン、グアニン)の最終代謝産物です。
[アミノ酸代謝]
そして、尿酸は肝臓や骨髄、筋肉などで産生され、腎臓から尿とともに(約2/3)、また、腸管(約1/3)からも排泄されます。
[核酸の代謝]
痛風を引き起こす高尿酸血症はこれまで、腎臓からの尿酸排泄機能が低下するタイプと体内で尿酸が過剰に産生されるタイプとが知られていましたが、小腸など腸管からの排泄機能が低下すると尿酸が体内に溜まるという重要な第3のタイプがあることがわかりました。
東京薬科大学や防衛医科大学などの研究チームが
英科学誌「Nature Communications」2012年4月3日号
に発表。
尿酸は、ほとんどが腎臓と腸管から体外に排泄されます。
1つの遺伝子(ABCG2)が変異を起こして働かなくなると、腸管からの尿酸排泄量が低下して尿酸が体内に溜まります。そして、
腎臓よりもむしろ腸管からの尿酸排泄機能が低下することが、高尿酸血症の主要な原因の一つであることを発見しました。
この第3のタイプの高尿酸血症を引き起こすメカニズムの発見により、新たな視点からの痛風の予防法や治療薬の開発が大いに期待される、といわれています。.
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