なにをいまさら、されど「痛風」(4)
痛風の治療薬 痛風・高尿酸血症の食事療法
人間さまの痛風の根本的な治療法は現時点ではありません。.
人間さまの痛風は糖尿病などと同じく完治することのない病気の一つなので血清尿酸値を一生コントロールする必要があります。
血清尿酸値をコントロールする薬剤としては、尿酸の生合成を阻害するものにフェブリクやアロプリノール、尿酸排泄促進剤としてプロベネシド、急性発作の特効薬としてはコルヒチンなどがあります。
このほか、水分を多くとり(1日2L以上)、また、血液、尿をアルカリ性に保つため重そう(炭酸水素ナトリウム)を服用することもあります。と同時に食事療法も行ないます。
食事療法としては、
痛風とともに高尿酸血症が、
飲酒や肥満、肉類、魚類などの摂取と関連することから、
①.飲酒制限、
②.適正なエネルギー摂取、
③.プリン体を摂りすぎない、
④.水をたくさん飲む
などがあります。
①.飲酒制限
適度な飲酒量としてアルコールは20~25g/日以下が望ましい。
ビールなら500ml(中瓶1本)、
日本酒なら180ml(1合)、
ウイスキーなら60ml(ダブル1杯)、
ワインなら160ml(1グラス)、
焼酎なら90ml.
プリン体の多いアルコールの摂取は適量にとどめましょう。 .
アルコールが血清尿酸値を上げる原因として
ⅰ)アルコールがATPを分解するとプリン体そして尿酸が生成される。
ⅱ)アルコール飲料にはプリン体が含まれる。
ⅲ)アルコールが乳酸から糖への新生、乳酸の肝臓での代謝を減少させるため、生成された乳酸により血液が酸性に傾き、尿酸の排泄が抑制される、
が報告されています。
ビール中のプリン体が血清尿酸値におよぼす影響
低アルコールビール、ノンアルコールビール、
アルコールを含まない凍結乾燥ビールでも、
そのビールに含まれるプリン体が血清尿酸値を上げ、
プリン体カットビールの適量飲酒では
わずかしか血清尿酸値は上がらなかった。
②.適正なエネルギー摂取
高たんぱく食や高カロリー食を控え、腹八分目、過食も慎み、適正エネルギーを摂取しましょう。.
③.プリン体を摂りすぎない
化学構造としてプリン骨格をもつ物質は総称してプリン体といわれます。
プリン体には、DNA、RNA、ATPなどのヌクレオチド、アデノシンなどのヌクレオシド、そしてプリン塩基が含まれます。.
.
これらのプリン体は、体内で利用された後、最終的には尿酸として腎臓と腸管から排泄されます。.
血清尿酸値を上げる食品
食品や飲料に含まれるプリン体は、うま味の素になっています。そして、
プリン体の大部分は核酸に由来しているため、プリン体は美味しいものや細胞数の多いものに多く含まれています。
うま味を感じさせるヌクレオチドにはイノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸がありますが、摂り過ぎは尿酸値を上げる原因になります。食べ過ぎないようにしましょう。
そのほか、たらこ、白子、数の子、イクラなどもプリン体含有量が多い食品です。
血清尿酸値を下げる食品
血清尿酸値を下げる食品成分としては、たんぱく質やビタミンC、ポリフェノール、フラボノイド、食物繊維などがあります。
カゼインが含まれる乳製品やポリフェノールを含むコーヒーの摂取量が多いと、カゼインやポリフェノールが尿酸の排泄を増やすため、血清尿酸値が低くなる、といわれています。.
④.水をたくさん飲む
尿酸の排泄を促すためには、十分な水分の摂取が必要です。
1日2L以上の尿量を維持するため、食事以外に1日2L以上の飲水を行なうのが良い、とされています。
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