なにをいまさら、されど 「糖尿病」(8)
インスリン不足時のケトン体生成マップ
次に糖尿病の症状について、少し詳しく考えてみましょう。
血糖を調節するホルモンには、インスリン、アドレナリン、グルカゴンなどがありますが、とくにインスリンが不足すると、せっかく吸収された私ブドウ糖はエネルギーとして利用されずに体内を血液と一緒にグルグルとまわるばかりです。
つまり高血糖の状態が続き一定濃度以上になって尿中に排泄されます。(高血糖性糖尿) そこで生体は生活エネルギーを確保するために体内脂質(脂肪酸)を酸化(β酸化、ω酸化など)してATPを発生させるようにします。 その結果、アセチルCoAが大量に生成されます。
しかし、インスリンが不足または欠乏しているとATPを発生させる嫌気的解糖のみならず好気的TCAサイクルもその代謝が円滑に行なわれません。 そのため大量のアセチルCoAは肝臓の細胞でアセト酢酸(Acetoacetic acid)となり、それが脱炭酸されたり還元されたりしてそれぞれアセトン(Acetone)、3-ヒドロキシ酪酸(3-Hydroxybutyric acid)を生じ、これらの
ケトン体(Ketone bodies)が血中にあふれてきます。
この病態をケトージス(Ketosis)といい尿中ケトン体も陽性(+)となります。(吐く息や尿が悪臭を放つ原因物質) ここまでくると糖尿病もかなり重症です。(重度の飢餓状態や絶食状態の場合も同様の症状が現われます。)
[インスリン不足時のケトン体生成マップ]
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