なにをいまさら、されど「食中毒」(1)
食中毒の種類
拝啓 人間さま
毎日、うっとうしい天気が続く今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。
この高温多湿の気候では体力や免疫が低下し、さぞかし、お体に変調を来たしていることとご推察申し上げます。
聞くところによりますれば、全国各地で食中毒が発生している由、察するに余りあります。
突然の手紙でご無礼いたします。 私たちはあなたがた人間さまの体の中で日夜分裂増殖に励み、腸内の細菌たちのバランスをもとっている無害というよりは、むしろ人間さまには有用な非病原性大腸菌(Escherichia coli)です。
最近食中毒の原因菌として騒がれている腸管出血性大腸菌O157やO111、O26などは、私たち非病原性の仲間で、有害な下痢原性大腸菌の一種です。
いわゆる、私たちとは親戚関係にあるのですが、私たち非病原性大腸菌と下痢原性大腸菌の人間さまに及ぼす影響の利害はまったく相反します。
この点につきまして釈明方お詫びいたしたく、思いきってペンをとった次第です。
[大腸菌]
(イメージ図)
さて、食中毒には私たちの仲間が引き起こす細菌性やウイルス性の食中毒、フグや毒キノコを食して発生する自然毒食中毒、さらに化学物質を誤って摂食して起こる化学性食中毒があります。
【食中毒】
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