こんにちは。
春。花。そして桜。いま、見ごろ。
花霞、桜満開、花吹雪、花いかだ、花冷え、花ぐもり、桜流し…。
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ワクワクするのは私だけでしょうか。
さて、これまでは桜の品種のご紹介をしてきました。
ブログ 『2016年 桜』
日本では、桜と言えばソメイヨシノが有名です。
でも、600種類以上もある桜のなかには聞いたこともない名前はもちろん
珍しい品種があるのでは…。
今回は、その珍しい桜のお話をチョコット…。
<1>御衣黄桜
和名:ギョイコウ(御衣黄桜)
学名:Cerasus lannesiana ‘Gioiko’
ギョイコウの咲き初めは緑色で、葉と区別がつきにくく目立たない珍しい神秘的な緑の桜。
名前の由来がきれいなそして高貴な貴族の衣裳の萌黄色(もえぎいろ)
に近いためこのような名前がついたといわれています。
御衣黄桜の花言葉は「永遠優美」。なんとも美しい花言葉ですね。
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<2>宗堂桜
和名:ソウドウザクラ(宗堂桜)
学名:Prunus lannesiana cv. Soudou-zakura(P. jamasakura cv.)
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岡山県指定天然記念物で指定名は「宗堂の桜(そうどうのさくら)」。
指定されている株は2株で、妙泉寺跡の公園の下、民家2軒にあります。
実はこの桜には悲しい伝説があるようです。ご紹介をいたします。
寛永の頃、宗堂山の麓には宗堂山妙泉寺(永禄11年建立)がありました。
この寺の八世住職は日奥聖人直弟子の若い僧「雲哲日鏡」で
大変花好きといわれ、寺の参道に数10本の八重桜を植えていました。
雲哲は宗堂山の里をこよなく愛し、また人々にも慕われ農家にとっても
生き仏以上の存在となり、相談も多く霊験あらたかな上人様でした。
しかし、上人は岡山藩から弾圧されていた不受不施派(日蓮宗の一派)
でしたので御殿様に毒を盛られるハメになります。
それでも、寺の門まではようやく帰って来たが、上人はそこで息絶えてしまいました。
上人の植えた桜はそれを大変悲しみ、花びらを開ききらずに咲くようになったといわれています。
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<3>鬱金桜
和名:ウコン(鬱金)
学名:Cerasus lannesiana ‘Grandiflora’ A. Wagner
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黄金色の花を咲かせるサクラで、戦争中に空襲で焼失したり
日本の気候に合わなかったこともあったりとほとんどの原木は消失してしまいました
現在の日本国内にある鬱金桜は27本と言われていますが、はっきりと
その 存在の確認はできていないそうです。
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<4>寒緋桜
カンヒザクラ(寒緋桜)またはヒカンザクラ(緋寒桜)
学名:Cerasus cerasoides (D.Don) S.Ya.Sokolov var.
campanulata (Maxim.) X.R.Wang et C.B.Shang, 1998
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なんとも濃いピンク色の桜です。沖縄県で多くみられる品種ですが
日本で一番早く開花するサクラともいわれています。
キキョウ科の植物でカンパニュラに似て、下向きの花びらを咲かせる姿にちなんで
「艶やかな美人」という花言葉があります。
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<5>陽光桜
和名:ヨウコウザクラ(陽光桜)
学名:Prunus ‘Youkou-zakura’
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こちらの桜にも悲しいお話があります。陽光桜は
「里桜」の天城吉野と寒緋桜との交配によって作出されました。
作者は愛媛県の高岡正明さんで、戦時中は教師をしており
生徒たちに「お国のために戦ってこい。またこの桜の木の下で会おう」
と数百名の教え子たちを戦地に送り出しました。
しかし、教え子たちが次々と戦死したため、高岡さんは自責の念に駆られ鎮魂の旅に出、戦死した教え子たちの慰霊にと、教え子たちが命を落とした亜熱帯のジャワや極寒のシベリアなどでも花を咲かすことができる新種の桜の品種開発に一生を捧げる決意をしました。
そして、この陽光桜が生まれることになったそうです。
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今回はドラマのある桜ばかりでした。
日本人と桜はやはり切っても切れない深い繋がりがあります。
また、美しい桜と桜についてのお話しをご紹介できれば、 と 思いつつ桜を眺め、
心静かに(?)過ごしたいと思います。
反実仮想
花野井薬局